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NEW ARRIVALS 0404                 2004/04/30

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[BLUEGRASS NEW RECORDINGS]
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[COUNTRY NEW RECORDINGS]
[COUNTRY REISSUES AND DISCOVERIES]


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[BLUEGRASS NEW RECORDINGS]
●KING WILKIE『Broke』REB-1802 CD \2,573
40 West/It's Been A Long Time/Broke Down And Lonesome/All Night Blues/Blue Yodel #7/Goodbye So Long/Little Birdie/Where The Old Red River Flows/Sparkling Brown Eyes/Lee & Paige/Drifting Away/Some Glad Day/40 West 全13曲
 ノース・キャロライナ州シャーロッツヴィルを本拠地として売り出し中、若手バリバリのトラッド・バンド、キング・ウィルキーのデビュー・アルバム。リード・バージェス(m)とジョン・マクドナルド(g)、ふたりが交互にリードをとりながらデュエットを聴かせるという、ブラザー・デュオにも似たクラシックなスタイルを基本に、ときにテッド・ピットニー(lead g)とのトリオ・コーラスもまじえて、50年代クラシック・ブルーグラスへの思い入れたっぷりにオールド・ファッションなブルーグラスを聴かせてくれる。全員が20代半ばの若さながら、敬愛するマック・マーティンやジョー・ヴァルなどなんとも渋い選曲と、白のスーツに身を包んでの往時そのままを思わせるパフォーマンスが、昨年秋初めて大きな舞台に登場したIBMAウィークでも、メインのファン・フェスそしてレベル・レコードのショウケースで圧倒的な支持を集めていた。既に自主制作で2枚のアルバムを発表しており、それを認められてのレベルからのナショナル・デビューとなった今作でも、クラシック・ブルーグラスのニュアンス、呼吸を見事に捉えたメンバーのオリジナルに、ヒーロー、ジョー・ヴァルをカヴァーした"Sparkling Brown Eyes"やジミー・ロジャース、ジミー・デイヴィスなどのクラシックを巧みに配して渾然一体となし、ノスタルジックな雰囲気が横溢した抜群のトラッド・ブルーグラスに仕上げている。快調なフィドル・チューンをアルバムのテーマ代わりとした構成も、かつてのラジオ・ショウをおもいおこさせて秀逸。因みに、バンド名はビル・モンローの愛馬の名をいただいたもの。
●LAURIE LEWIS & TOM ROZUM『Guest House』HT-8167 CD \2,888
Willie Poor Boy/Since You Went Away/Bad Seed/Tramps And Hawkers/Alaska/O My Malissa-How Old Are You?/My Heart's Own Love/Old Dan Tucker/Scars Of An Old Love/Don't Let The Stars Get In Your Eyes/Quiet Hills/Just A Lie/Wild Rose Of The Mountains-The Devil Chased Me Around The Stump-Glory At The Meeting House 全13曲
 ローリー・ルイスとトム・ロザム、おしどりコンビの実に5年ぶりとなる新作は、シンガー/ソングライター作品、オルタナ・カントリーやテキサス・ミュージックを得意とするウェスト・コーストのハイトーン・レコードからのリリースということで、どんな内容になるか興味深いものがあったが、蓋を開けてみればなんということはない、ブルーグラスをベースにいつも以上に気合いの入ったハーモニー満載、待たされただけの値打ちのある内容の濃い作品となっている。ローリーのフィドルとギター、トムのマンドリンとギターに、1曲目からパワー全開のクレイグ・スミス(bj)、ASH&Wでクレイグと一緒だった久しぶりスコット・ハフマン(g)、ニナ・ガーバー(g)、トム・ソーバー(bj)など、ローリーとは古馴染みのウェスト・コーストの精鋭たちにマイク・マーシャルをゲストに迎え、ヘイゼル・ディッケンズやシカゴのフォーク・シンガー、クローディア・シュミットからサイ・カーンまで、多彩なジャンルのソングライター作品に、カントリー・クラシックの完璧なアレンジ"Don't Let The Stars Get In Your Eyes"やオールドタイム・フィドル・チューン、自作曲を散りばめて、オールドタイムの色濃いスタイルを中心にクレイグがはじけているソリッド・ブルーグラスまで、しっとりと聴かせるアルバムに仕上げている。ビルとチャーリー、バーチの演奏にインスパイアされた、モンローの両親を唄った"O My Malissa-How Old Are You?"そしてラストの"Wild Rose Of The Mountains-The Devil Chased Me Around The Stump-Glory At The Meeting House"にローリーの想いが象徴されているようだ。
●TOM ADAMS & MICHAEL CLEVELAND『Live at the Ragged Edge』ROU-0539 CD \2,573
Welcome/The Fiddle and the Banjo/Dear Old Dixie/Dance Around Molly/Box Elder Beetles/Cripple Creek/Liberty/Shady Grove/Fire Ball Mail/Back Up and Push/John Hardy/Sitting on Top of the World/North Carolina Breakdown/Ginny Whitt's/Whistling Rufus/Funky Mountain Special/John Henry/Ricestrow/Going Down the Road Feeling Bad/I Saw the Light-I'll Fly Away/Little Maggie/Sally Goodin/Black Mountain Rag 全22曲
"ライト・ハンド・マン"トム・アダムスと若手ナンバーワンのホット・フィドラー、マイケル・クリ―ヴランド、ふたりの火を吹くような演奏を――マット・グレイザーのライナー・ノーツにいわく、このCDを聴くときはステレオ・セットのそばに可燃物をおかないように、と――これでもか、とフィーチュアしたフィドル&バンジョー/バンジョー&フィドル・アルバム。かつて、フラット&スクラッグス・ショウの呼び物のひとつだった、スクラッグスとベニ―・マーティン、ポール・ウォーレンとの息の合ったフィドル&バンジョーのセットを鮮やかによみがえらせている。完璧なスクラッグス・スタイルに微妙なシンコペーションを加味したトムのバンジョーと、ベニ―・マーティン直系のエモ―ショナルなフィドルにスコッティ・ストーンマンやバイロン・バーラインの匂いを加えたマイケル、観客を前にしたふたりだけのジャムというセッティングで、これ以上はないアグレッシヴなパフォーマンス、トーン、タッチ、タイミング、音の運び、すべてが生々しく伝わってくるホットな演奏が70分にわたって繰り広げられる。トラッド曲を中心に、トムのオリジナルを何曲かまじえ、マイケルのマンドリンとトムのギターによる"Shady Grove"などでは珍しいトムのヴォーカルをフィーチュアするなどして、ふたりだけのセットが単調に流れることなくヴァリエーションもきかせている。2002年3月ペンシルヴァニア州ゲティスバーグのラギド・エッジ・コーヒーハウスでのライヴ。なお、トムは現在ジストニアという筋力が低下する病気のため、マイケルと共に在籍していたデイル・アン・ブラッドレーのバンドを離れている。
●ROB ICKES『Big Time』ROU-0538 CD \2,573
Machine Gun Kelly/Elzik's Farewell/Matt Hyland/Born in a Barn/The Fatal Shore/Wayfaring Stranger/Fiddler's Dream/I'm Thinking Tonight of My Blue Eyes/Like Water/I Am a Pilgrim/Lonesome Moonlight Waltz/Lost Indian/Ireland, Love of My Heart 全13曲
 ブルーグラス界を代表するプレイヤーにして次世代ドブロの第一人者、ロブ・アイクスの4作目となるソロ・アルバム。前2作ではジャズへのアプローチをとおしてのドブロという楽器の可能性への挑戦、という趣きのプログレッシヴな作品だったが、今回は原点に立ち返ってレギュラー・バンド、ブルー・ハイウェイとのレコーディングでベーシックなセッティング、ブルーグラスのフレーム・ワークでのドブロ・スタイルを究めんとしている。フィドル・チューンのドブロへのアダプテーションやアイリッシュ・トラッドのアレンジを中心に、ブルー・ハイウェイならではのスーパー・ピッキン――ショーン・レーンのフィドル、マンドリンが大活躍――を随所に聴かせながらも決してテクニック偏重に走ることなく、丁寧な音の運びを大切に、抑制されたエモーションが印象的なアルバムに仕上げている。注目は"I'm Thinking Tonight of My Blue Eyes"、これまでアンクル・ジョッシュ・グレイヴスの影響を受けていない稀有なドブロ奏者、との見方もされてきたロブ(彼自身はその表現を嫌っていたようだが)が初めて聴かせるオールド・ファッションなスタイル、アンクル・ジョッシュそしてブラザー・オズワルドへのリスペクトが感動的。ゲスト、デレク・ジョーンズ(bs)とのデュオ"I Am a Pilgrim"でのジャジーなアレンジ、ラストのアイリッシュ・チューンでの無伴奏ソロ、冒頭で聴かせるウェイン・テイラーのパワフル・ヴォーカルをフィーチュアしたジェイムズ・テイラーのカヴァーなど、聴きどころいっぱい。
●SAM BUSH『King Of My World』SH-3987 CD \2,573
Puppies 'N Knapsacks/A Better Man/Eight More Miles To Louisville/They're Gonna Miss Me When I'm Gone/Bananas/King Of The World/Spirit Is The Journey/Majestic/Bless His Heart/The Mahavishnu Mountain Boys/The Wizard Of Oz 全11曲
 50歳を超えてますますエネルギッシュな演奏を繰り広げているサム・ブッシュ、スタジオ録音としては『Howlin' at the Moon』(SH-3876\2,573)以来6年ぶりの新作は、サム・ブッシュ・バンドのいまの姿を余すところなく伝える会心作。制作途中でギタリストがジョン・ランドールからブラッド・デイヴィスに代わるということもあったが、その影響など微塵も感じさせることなく、バイロン・ハウス(bs)、クリス・ブラウン(dr)との、ライヴの場かずを踏んで鍛え上げてきた、ワン・アンド・オンリーのサム・ブッシュ・ミュージック全開の11曲。サム自身のソリッドなバンジョーがクリアに聴けるオーソドックスなフィドル・チューンにはじまって、最近のライヴでの定番となっているグランパ・ジョーンズのクラシック"Eight More Miles To Louisville"やニューグラスのエネルギー炸裂"They're Gonna Miss Me When I'm Gone"(サム最近にお気に入りソングライター、ジェフ・ブラックの作品)などの馴染み深い曲、珍しくストレートなモンロー・スタイルのマンドリンを聴かせる"Majestic"、さらには、オールドタイム風味やラテン・タッチなどいろんな要素を取り込んだインストと、ブルーグラス/ニューグラスをベースにありとあらゆるアメリカン・ミュージックのファクターをとりいれて進化してきたサム・ブッシュ音楽を、マンドリン、フィドル、バンジョー、スライド・マンドリン、ギターなど、さまざまな楽器を駆使して縦横に繰り広げる万華鏡。ラストは、永遠の野球少年サムのヒーロー、「オズの魔法使い」の異名をとったセント・ルイス・カーディナルスの名遊撃手オジー・スミスに捧げたもの。アコースティック・スウィングの軽快な響きが、オジ―の動きを見事に表現している。
●ALECIA NUGENT『Alecia Nugent』ROU-0518 CD \2,573
I'll Stay Around/Red, White and Blue/If Your Heart Could Talk/My First Mistake/Jealous Heart/Think of What You've Done/Paper and Pen/But I Do/For Love's Sake/You Don't Have to Go Home/Blame It on the Train 全11曲
 ルイジアナ出身の女性シンガー、ファミリー・バンドでの豊富な経験をもつアリシア・ニュージェントのデビュー・アルバム。ラウンダーがアリソン・クラウス、ロンダ・ヴィンセントに続いてスターダムに押し上げるべく大プッシュ中、すでにいくつかのコンピレーションで紹介されている。久しぶりにそのスーパー・ピッキンも聴かせるカール・ジャクソン(g&bj)がプロデュース、オーブリ―・ヘイニ―(f)、ロニー・マカーリー(m)、ランディ・コーアズ(d)そしてベン・アイザックス(bs)と、珍しい組み合わせの若手実力派を集めている。フラット&スクラッグス、スタンレーズのカヴァーやラスト・トラックなどでの、ロンダをも髣髴させるパワフルな元気印ソリッド・ブルーグラスももちろん素晴らしいが、クラシック・カントリーにも通じるエモーション、ソウルを見事に表現した曲、例えばルー・リードが91年のソロ・アルバムでとりあげていたカール・ジャクソン・ソング"Red, White and Blue"、ラリー・コードルが当初アリソン・クラウスのために書いたという"My First Mistake"などでの、アリシアの情感あふれるヴォーカルが選曲の妙も相俟ってこれがデビュー作とは思えぬ深い味をかもし出している。業界最高のハーモニー・シンガーでもあるカールとのデュエット"For Love's Sake"(ドイル・ローソンのカヴァー)や、ロンダ、ソニア・アイザックスとのゴスペル"You Don't Have to Go Home"、ナッシュヴィル・スター、レベッカ・リン・ハワードとのカントリー・クラシック"Jealous Heart"など、贅沢なコーラス陣も聴きどころ。
●JESSE McREYNOLDS & THE VIRGINIA BOYS『New Horizons』PC-1135 CD \2,573
There's More Pretty Girls Than One/I Won't Be Blue Anymore/Take Me Back Into Your Heart/In The Pines/Faded Love/Showboat Gambler/You'll Find Her Name Written There/She's Coming Home Tonight/The Anniversary Song/She's Looking Good/America On Bended Knee/My Main Trial Is Yet To Come/New Partner Waltz/Paradise 全14曲
 兄ジムを亡くしたジェシー・マクレイノルズの再起第1作。故ジムのポジションにブラザー・デュオのキャリア豊かなヴェテラン、ウィットスタイン・ブラザーズのチャールズ・ウィットスタインを迎え、孫リュ―ク・マクナイト(vo&m)を核に据えたヴァージニア・ボーイズにはこれまた大ヴェテラン、ボビー・ヒックスとゲスト参加のウェルドン・マイリックのドブロが大きな柱となって支えるという強力な布陣での新たなる出発。ボビーの十八番、スウィンギーなフィドルが印象的な曲やホンキー・トンク調など、ジム&ジェシーの伝統そのままに落ち着いたサウンドをつくりあげている。後半、ジムとはひとあじ違うチャールズのテナーが美しいハーモニーをフィーチュアした、これぞヴァージニア・ボーイズといわんばかりのワルツが鮮やか。スタンダード曲を重たい感じのギターにのせたアレンジは、兄を亡くしたジェシーの心象風景を表わしたものだろうか。ラスト、ジム&ジェシー最大のヒット曲のリメイクには、作者ジョン・プラインがゲストとしてヴォーカルを聴かせている。
●THE LARRY STEPHENSON BAND『Clinch Mountain Mystery』PC-1134 CD \2,573
Dixieland For Me/A Heart Never Knows/Clinch Mountain Mystery/Why Don't You Haul Off And Love Me/Cruzin' In Overdrive/Dirty Ole Alabama Mud/Someone's Gotta Cry/ Those Gone And Left Me Blues/The Pretty Blue Dress/A Memory Of You/I Can't Bear The Thought Of Losing You/My Baby Back To Me 全12曲
 ビル・ハレル&ヴァ―ジニアンズ、ブルーグラス・カーディナルスを経て自らのバンドを結成して早15年、今やヴェテランの域に達したラリー・スティーヴンソンの最新作。一昨年来のセッション・ユニット、ホワイトハウスでの成功が大きな刺激となったのか、ようやく一皮むけた、気合いの入ったソリッド・ブルーグラスを聴かせてくれる。懐かしや、ジョージ・ジョーンズがメルバ・モンゴメリーと組んだブルーグラス・アルバム『Bluegrass Hootenanny』で唄った"Dixieland For Me"のハイ・ギアで突っ走る爽快感――ゲスト参加、ブライアン・サットンが凄まじい――に始まって、師匠ビル・ハレルやジム&ジェシーのハーモニーを大事にしたブルーグラス・クラシック、ウェイン・レイニ―、ジミー・ウェイクリ―&ジョニー・ボンドのアーリー・カントリー・ソングに、ブルーグラス・ソングライターの大看板となったトム・T・ホールのタイトル曲など、通好みといっていいだろう選曲もこれまで以上にいい線をついている。ラリーのクリスタル・クリアなハイ・リードが、アーロン・マクダリスの端正なバンジョーとゲスト、ボビー・ヒックス、ロン・スチュワートの完璧のフィドルそして、ブライアンのギターが生み出すドライヴにのって、いま風のソリッドなサウンドにどこか懐かしい空気を湛えた真っ直ぐなブルーグラスを鮮やかに唄っている。
●ALAN MUNDE『Solo Banjo』AM-001 CD-R \2,888
Old Joe Clark/Fred's Frolic/Red Wing/Old Spinning Wheel, Old Grey Bonnet, Seeing Nellie Home/Liza Jane/Lonesome Road Blues/Peaches And Cream/Prisoner's Song/Gold Rush/Grandfather's Clock/John Henry/Nashville Skyline Rag/The French Broad(River Song)/Pavane For A Dead Princess 全15曲
 アラン・マンデの最新作はタイトルどおり、たったひとりでつくりあげた自主制作盤。超有名スタンダード曲を中心に、要所に得意のクロマティック・スタイルを効かせるなどのツイストもまじえながら、折り目正しいスリー・フィンガー・ロールで演じきっている。ソロ・バンジョーということで、バックのリズムに背中を押されてのドライヴ、勢いといったものとは別の、音やタッチを選びながらの丁寧な演奏がプレイヤーには大きな参考となるだろう。1曲だけツイン・バンジョーで録音した"Peaches And Cream"、クラシックのピアノ曲にも似たイメージで展開する"The French Broad(River Song)"など3曲のオリジナル、そしてラストのラヴェル作品に、バンジョーの可能性をマンデ流に試行するかたちが表われている。サブ・タイトルにある"Solo Banjo, Just Banjo, All Banjo, Nothing But Banjo"というフレーズがすべてをいい尽くしている。
[BLUEGRASS REISSUES AND DISCOVERIES]
RED ALLEN『Keep On Going:The Rebel & Melodeon Recordings』REB-1127 CD \2,573
Don't Lie to Me*/Lonesome Weary Heart*/Sad And Lonesome Day/I Don't Believe You'd Do Me Wrong*/Little Birdie/Faded Memory/Froggy Went a Courtin'/Sad And Lonesome Day/Journey's End/Those "Gone And Left Me" Blues/No Blind Ones There/The Family Who Prays/If That's the Way You Feel*/Worry My Life Away/Down Where the River Bends/Hello City Limits/Out on the Ocean/I Don't Know Why/Plant Some Flowers by My Graveside/Close by/Froggy Went a Courtin'/Purple Heart*/Keep on Going 全25曲(* indicates previously unreleased)
●RED ALLEN『Lonesome And Blue:The Complete County Recordings』REB-1128 CD \2,573
Are You Waiting Just for Me/Whose Shoulder Will You Cry on/My Baby's Gone/Heaven/Summertime is Past And Gone/That's How I Can Count on You/Purple Heart/I Heard My Mother Call My Name in Prayer/Swven Year Blues*/I'm on My Way Back to the Old Home/What About You/Out on the Ocean/We Live in Two Different Worlds/There Must Be Another Way to Live/Have You Come to Say Goodbye/Bluegrass Blues/Send Me Your Address From Heaven/Milk Cow Blues/Branded Wherever I Go*/I'm Lonesome And Blue/If That's the Way You Feel/Maiden's Prayer/Love Gone Cold/I Wonder Where You Are Tonight/No Mother Or Dad 全25曲(* indicates previously unreleased)
レスター・フラット、ジミー・マーティンと並ぶブルーグラス界最高のヴォーカリスト、レッド・アレンの貴重な遺産が遂にCD化された。オズボーン・ブラザーズとの至高のトリオ・コーラスをフィーチュアした50年代のMGM録音、フランク・ウェイクフィールドとのフォークウェイズ盤(64年)に続いて、レッドの絶頂期ともいうべき60年代半ばの音源が、これでほぼ聴けるようになった。REB-1127は、ウェイクフィールド、ラルフ・ロビンソン(bj)、ジム・コックス(bs)とのレベルでのデモ・セッション(63年)、ビル・エマーソン、チャビー・ワイズ、ウェイン・イェイツ、ビル・イェイツとのメロデオン盤『Solid Bluegrass Sound of The Kentuckians』(MLP-7325)、そしてポーター・チャーチ、スコッティ・ストーンマン、イェイツ兄弟とのレベル・セッション(65年)を収録、REB-1128にはカウンティに残した2枚の名盤、イェイツ兄弟、チャーチとの『Bluegrass Country』(County 704)とチャーチ、デヴィッド・グリスマン、クレイグ・ウィングフィールド、ジェリー・マカーリーとの『Red Allen & The Kentuckians』(710)を収録している(それぞれに未発表曲が含まれている)。これら3枚のオリジナルLPがいずれも65年から66年にかけての短期間にレコーディングされたという、そのひとことだけをとってみても、この時期のレッド・アレンというブル―グラッサ―がいかに充実したときを過ごしていたかが理解されるだろう。70年代後半以降オハイオに半ば隠棲し、息子たちとの活動だけに限定するという状況のもと、93年に63歳という若さで亡くなったレッド、それがためもあって、その類稀なるハイ・ロンサム・ヴォーカルがもっともっと高く評価されてしかるべき存在でありながら、"underrated vocalist"の座に甘んじてきた感が強い。今回の名盤復刻によって、レッド・アレンという稀代のヴォーカリストの真価を再確認したいものだ。


●DEL McCOURY『High Lonesome And Blue』ROU-11613 CD \2,573
Road of Love/Lonesome Wind/I Feel the Blues Moving In/You'll Find Her Name Written There/High on a Mountain/I'll Pretend It's Raining/Don't Our Love Look Natural?/Cheek To Cheek With The Blues/Old Memories Mean Nothing to Me/If You've Got The Money Honey/Queen Anne's Lace/If You Need a Fool/The Bluest Man In Town/The Cold Hard Facts/Blackjack County Chains/Don't Stop The Music 全16曲
 「もっともプログレッシヴなトラッド・バンド」として王座に君臨するデル・マカーリー・バンド、そのデルが今日の礎を築いた時期、80年代後半から90年代半ばラウンダーに残した傑作群からセレクトされたコンピレーション。87年のジョンソン・マウンテン・ボーイズをバックにした弟ジェリーとのコラボレーション『The McCoury Brothers』(Rounder 0230)、ロニ―(m)とロブ(bj)、息子たちのデビューとなった90年の『Don't Stop The Music』(0245)と92年の『Blue Side of Town』(0292)そして不動のメンバーとして最高のアンサンブルを生み出しつづけるジェイソン・カーター(f)、マイク・バブ(bs)参加の『A Deeper Shade of Blue』('93、0303)とグラミー・ノミネート作品『The Cold Hard Facts』('96、0363)と、5枚のアルバムからの全16曲、いずれもデルのハイ・エナジー/ハイ・テンション/ハイ・ロンサム・ブルーグラスの真髄――ブルーズ感覚も忘れてはなるまい――を体現したものであり、いまもデルのライヴでの重要なレパートリーとなっている曲が多く含まれている。新旧カントリー・ソングの完璧なブルーグラス・アレンジに加えて、この時期から既にシンガー/ソングライター作品へも触手をのばしており、スティーヴ・ヤングやデヴィッド・オルニーなどの曲が含まれているのも、現在へとつながるデルの進取の姿勢を表わしたものといっていいだろう。
●V.A.『Bluegrass Number 1's』ROU-0531 CD \2,573
Lonesome Wind Blues(Rhonda Vincent)/We're Steppin' Out Tonight(Bobby Hicks with Del McCoury)/Who Will Watch The Home Place?(Laurie Lewis)/Thirty Years of Farming(James King)/New Fool(Alison Krauss + Union Station)/Waiting For You(J.D. Crowe & the New South)/The Bramble And The Rose(The Lynn Morris Band)/Riding the Danville Pike(Blue Highway)/Is the Grass Any Bluer(Rhonda Vincent)/Bed by the Window(James King)/Duncan and Brady(The Johnson Mountain Boys)/Mama's Hand(Lynn Morris)/Grapes On The Vine(The Rice Brothers)/Tall Pines(Laurie Lewis)/The Cold Hard Facts(The Del McCoury Band)/So Long, So Wrong(Alison Krauss + Union Station)/I've Never Been So Lonesome(Longview)/Carry Me Across the Mountain(Dan Tyminski) 全18曲
<Limited Editipn Bonus Disc>Whistling Rufus(Tom Adams & Michael Cleveland)/Paper and Pen(Alecia Nugent)/I'm Not Perfect(Open Road)/Fiddler's Dream(Rob Ickes)/My Warfare Will Soon Be Over(Ginny Hawker)/Goin' Where I've Never Been Before(Dirk Powell)/Johnson City Rag(Bruce Molsky)/Faraway Land(Ron Block) 全8曲
ブルーグラス・アンリミテッド誌で全米各地のブルーグラス・ラジオのデータを集計し、アルバムのトップ15、シングルのトップ30が毎月発表されているナショナル・ブルーグラス・サーヴェイ、そのシングル・チャートでトップにランクされたラウンダー・レコードのアーティストによる曲を集めたコンピレーション。現在のブルーグラス・ファンの好みをダイレクトに映し出したものであり、ブルーグラスのいまの状況を一望できるセレクションとして、また、各アーティストの格好のサンプラーとして、オススメのアルバムとなっている。リミテッド・エディションということで、アリシア・ニュージェントやトム・アダムス&マイケル・クリ―ヴランドなど最近リリースされたばかりのラウンダー・アルバム(一部旧作もあり)から8曲を収録したボーナス・ディスクがついており、こちらもサンプラーとしてお役立ちとなりそう。
●V.A.『Bluegrass Express』ROU-1159 CD \2,573
Riding That Midnight Train(Ralph Stanley & The Clinch Mountain Boys)/Lonesome Whistle Blues(The Dreadful Snakes)/The Passing Of The Train(Rhonda Vincent)/I'm Blue, I'm Lonesome(Bill Monroe & His Blue Grass Boys)/Train Forty-Five(Jimmy Martin)/Wreck Of The Old 97(Connie & Babe & The Backwoods Boys)/Freight Train(Jim & Jesse)/Long Train Of Fools(Lynn Morris Band)/Freight Train Boogie(Don Reno & Tony Rice)/Lonesome Railroad(The Stevens Sisters)/Reuben(Rob Ickes)/Mr. Engineer(J.D.Crowe & The New South)/Blame It On The Train(Alicia Nugent)/Gospel Train(Mountain Heart)/Bluegrass Express(The Osborne Brothers) 全15曲
ラウンダーからリリースされたトレイン・ソングのコンピレーション。カントリー・ミュージックが商業録音された最初、1923年から既にその重要なレパートリーとなっていたトレイン・ソング、汽車の力強さ、そのスピード、リズムがブルーグラスのそれとオーヴァー・ラップして、アメリカン・ミュージックのもっとも美しいかたちに捉えられてきた。ここに集められたのは、コニー&ベイブからアリシア・ニュージェントまで新旧のラウンダー録音はもとより、ビル・モンローやジミー・マーティン、ラルフ・スタンレーそしてオズボーン・ブラザーズなどのクラシック。そして80年代サン・フランシスコはベイ・エリアでレコーディングされたドン・レノとトニー・ライスただ一度の共演という珍しい音源まで。
[FOLK & OLDTIME NEW RECORDINGS]
●JERRY GARCIA & DAVID GRISMAN『Been All Around This World』ACD-57 CD \2,888
Been All Around This World/I'll Go Crazy/Take Me/Handsome Cabin Boy Waltz/The Ballad Of Frankie Lee And Judas Priest/I'm Troubled/Blue Yodel #9/Nine Pound Hammer/I Ain't Never/Sittin' Here In Limbo/Dark As A Dungeon/Drink Up And Go Home 全12曲
 デヴィッド・グリスマンが90年代前半、何回にもわけて録り貯めてきた故ジェリー・ガルシアとのコラボレーション、『Jerry Garcia/David Grisman』(ACD-2\2,888)に始まる一連のアルバムで紹介されてきたシリーズの完結編。アパラチアン・トラッドの独自の解釈に始まって、リズム&ブルース、ジャズ、カントリーなど、ルーツ・ミュージックのさまざまなスタイルをふたりの個性に昇華した唯一無二ともいえる世界を構築している。ガルシアのディープなトーンとユニークなタッチのギター、グリスマンの抑制の効いたマンドリンに、グリスマン・クインテットのジョー・クレイヴンのフィドルとパーカッション、マット・イークルのフルート、ジム・カ―ウィンのベースも加えて、ガルシアの危うさがスリリングなヴォーカルをおしたてた全12曲。トラッドやサリー・ヴァン・ミーターのドブロが印象的なジミー・ロジャースのブルー・ヨーデル(故ジョン・カーンも参加)、マール・トラヴィスを核に、かつてマイク・オールドリッジが渋いノドを聴かせたジョージ・ジョーンズ&タミ―・ワイネット・ソングやメル・ティリスなどのカントリー・ヒットに、ボブ・ディランがカントリーへの傾斜を示した時期、67年の大作、そしてソウル界のゴッドファーザー、ジェイムズ・ブラウンをアグレッシヴなアコースティック・ブルーズに仕立てた曲など、それぞれに興味深いアレンジで聴かせている。
●GREY DE LISLE『The Graceful Ghost』SH-3985 CD \2,573
The Jewel Of Abilene/Sweet Savior's Arms/Sharecroppin' Man/Walking In A Line/The Maple Tree/Tell Me True/Turtle Dove/Black Haired Boy/Katy Allen/This White Circle On My Finger/Sawyer/Pretty Little Dreamer 全12曲
 またひとり、鮮烈な個性をもった女性シンガー/ソングライターが登場した。カリフォルニア州サン・ディエゴ出身、現在はロス・アンジェルスで活躍するグレイ・ド・ライル。カーター・ファミリーそのままの雰囲気をもった曲にはじまって、アパラチアン・トラッドをベースとしながら現代感覚をそこかしこに匂わせるオリジナル曲がまず印象的。そして、おそらくアパラチアン・トラッドがからだの芯まで身についているのと同様に、50年代、60年代のカントリー・ソングを隅々まで聴きこんできたであろうことを窺わせるノスタルジックなカントリー・テイスト――1曲だけ含まれたカヴァー曲、キティ・ウェルズの"This White Circle On My Finger"やジョニー・キャッシュ風のビート、カントリー・スタンダードのあれやこれやを思い起こさせるメロディ・ライン――が、アコースティック・ギターを軸にチェレステやハーモニウムなどの古鍵盤楽器を多用し、アンティークな機材で録音したオールド・ファッションなサウンド、スタイルと相俟って、懐かしさと新しさが同居した不可思議な世界を創り出している。おそらくギリアン・ウェルチと対比して語られることも多そうなグレイ、ギリアンにデヴィッド・ローリングスという智恵袋がついているように、グレイにもマーリー・ハモンドというパートナーがフルにサポートしている。「スタイルはイミテーションから生まれる」というジョン・ハートフォードの言葉をそのまま実践して、カーター・ファミリーをはじめとするアパラチアン・トラッドやクラシック・カントリー・スタイルを範としながら自らのオリジナリティを演出するグレイ、インディーでのアルバムを認められてのナショナル・デビューである。
●DIRK POWELL『Time Again』ROU-0519 CD \2,573
Lord, I used to know 150 songs by heart.../Waterbound/Goin' Where I've Never Been Before/Mother's Little Children/Prettiest Little Girl in the County/An old love song, folk song.../Texas Bells/My Love Lies in the Ground/Honey Babe/Police/You used to play that Cindy.../Sally Ann/Wish I Had a Dollar/Zollie's Retreat/Handsome Molly/There's a good little lick right there.../Sow 'Em on the Mountain/Three Forks of Cumberland/When Sorrows Encompass Me Round 全15曲
 話題の映画『コールド・マウンテン』のサウンドトラック(COL-86843\2,783)のキー・プレイヤーとして、メジャー・シーンでも一躍注目される存在となった現代オールドタイム・ミュージックの第一人者、ダーク・パウエルの最新第3作。傑作アルバム『Songs from the Mountain』(SH-3952\2,573)で共演したティム・オブライエンや、メジャー・カントリーのヒット・メイカーでもあるシンガー/ソングライター、ダレル・スコットをヴォーカル・ゲストに迎え、トラッド曲やカーター・ファミリーなどのレパートリーを、ティピカルなストリング・バンド、バンジョー・ソロ、バンジョー/スライド・ギターのデュエットなど、いろんなパターンでしみじみと聴かせている。祖父ジェイムズ・クラレンス・ヘイとのイースタン・ケンタッキーでの暮しから身をもって体得した伝統音楽を、フィドルやフレットレス・バンジョーなどの民俗楽器を駆使して、そのソウル、グル―ヴを表現していく、その姿が貴い。随所に、90年に録音された祖父とのフィールド・レコーディングが挿入され、家族に伝わる伝承の重みを感じさせてくれる。
●BRUCE MOLSKY『Contented Must Be』ROU-0534 CD \2,573
Ways of the World/Brushy Run/Hills of Mexico/Wake Up Susan & Durang's Hornpipe/Green Grows the Laurel/Grey Owl & Victor's No.39/Knoxville Blues/Someone I Love/Diamond Joe & Green River/Johnson City Rag/Let's Go to Huntin'/Blackberry Blossom/Harveland Waltz/Richmond/Charmin' Betsy/Glory in the Meeting House/Winter Slide 全17曲
 ニュー・ヨークはブルックリンに生まれ育ちながら、トミー・ジャレルによってオールドタイム・ミュージックへの道にいざなわれたという経歴をもつ、現代オールドタイマーの代表格のひとり、ブルース・モルスキーのソロ・アルバムとしては3作目となる最新作。前作『Poor Man's Troubles』(ROU-0470\2,573)同様、自身のフィドル、バンジョー、ギター、ヴォーカルに、ダロル・アンガ―のバリトン・フィドルやダドリー・コンネルのヴォーカルをゲストに迎え、さらにマイク・コンプトンのマンドリン、ポール・ブラウンのバンジョー、オードリー・モルスキーのギターなどを配して、フィドル・チューンを中心にアパラチアン・トラッドのさまざまなヴァリエーションを親しみやすい演奏で聴かせてくれる。
[FOLK & OLDTIME REISSUES AND DISCOVERIES]
●DOC & MERLE WATSON『Sittin' Here Pickin' the Blues』ROU-11617 CD \2,573
Freight Train Blues/Hobo Bill's Last Ride/Mississippi Heavy Water Blues/John Hurt/John Henry-Worried Blues/I'm A Stranger Here/Talking to Casey/Blue Ridge Mountain Blues/Any Old Time/Sittin' Here Pickin' the Blues/Stormy Weather/How Long Blues/Honey Babe Blues/St. Louis Blues/Carroll County Blues/California Blues/Going to Chicago Blues/Jailhouse Blues/Windy and Warm/Deep River Blues 全20曲
 ドク&マール・ワトソンが、サム・ブッシュ(f&m)とT・マイケル・コールマン(bs)をバックに発表した、フライング・フィッシュでの最後のアルバムとなった85年作品『Pickin' the Blues』(FF-70352\2,573)に、同じくフライング・フィッシュの『Red Rockin' Chair』(FF-70252\2,573)から4曲、マーク・オコーナー参加の『Guitar Album』(FF-70301\2,573)から3曲そして79年テルライドでのライヴ"Deep River Blues"を加えての再発売。カントリー、ジャズ、ブルーズで唄われてきたブルーズ・ナンバーを、そのイメージどおりのスタイルから、例えばサムのジャジーなフィドルが演出するスウィンギーなスタイルまで幅広いかたちに聴かせている。プロデューサー、そしてギター、スライド・ギターで見事なサポートを務めたマールにとって、翌86年のシュガー・ヒル作品『Riding the Midnight Train』(SH-3752\2,573)と共に遺作となってしまった作品。
[COUNTRY NEW RECORDINGS]
●MOOT DAVIS『Moot Davis』LD-2003-21 CD \2,783
Thick Of It Now/Highway Kind/Jug Of Wine/Whiskey Town/Thanks For Breakin' My Heart/Last Train Home/Nothin'/One Of A Kind/Halls Of Smoke & Wine/Stay Gone 全10曲
 ドワイト・ヨーカムを大スターに育てたプロデューサー/ギタリスト、ピート・アンダーソンが満を持して自らのレーベル、リトル・ドッグ・レコードから送り出したハード・コア・カントリーの新人、ムート・デイヴィスのデビュー作。ニュー・ジャージー州トレントンという都会生まれの29歳、俳優としても有望視されていたらしいが音楽の道を選んだムート、既に一部では「ハンクの遺産を継承する才能をもつ」と評されている。50年代ホンキー・トンクの息遣いを見事に捉えたヴォーカル、王道を行くハンク・ウィリアムズ直系のブルージーなフィーリングから、ドワイト・ヨーカムのベイカーズフィールド・サウンドを取り込んだパンキッシュなスタイルまでを鮮やかに切り取って、ナッシュヴィル産とはひとあじ違う、オールド・ファッションな感覚を巧みに生かしたソングライティングと共に抜群のホンキー・トンク・スタイルに仕上げている。ピート・アンダーソンのエレキ・ギターとゲイブ・ウィッチャ―のフィドル、ゲイリー・モースのスティールが駆け巡るバンド・サウンドも、ロス・アンジェルス録音ならではの雰囲気を湛えてお見事。
●CLINT BLACK『Spend My Time』EQMG-3001 CD \2,783
Spend My Time/We All Fall Down/My Imagination/She's Leavin'/Everything I Need/What Ever Happened/A Mind To/Just Like You And Me/The Boogie Man/Someone Else's Tears/Haywire/A Lover's Clown 全12曲
 80年代末から90年代前半にピークを極めたネオ・トラディショナル・カントリーのトップ・スターとして、ハンク〜レフティ〜マールと継承されてきた正統ホンキー・トンク・スタイルで一時代を築いたクリント・ブラック、長年住みなれたRCAを離れ心機一転、オリジナル・アルバムとしては5年ぶりとなるインディー・レーベルからの最新作。ソニー・ガリッシュ(スティール)、スチュアート・ダンカン(f)、マット・ローリングス(P)などヴェテランたちの織り成すオーソドックスなサウンドにのせた正調カントリー・バラードを主体に、クラシック・ホンキー・トンク・テイスト横溢するなかに、ソウル風味などのスパイスを効果的に配した味のあるヴォーカルはもちろん健在、いつものとおり全曲自作(共作)オリジナルを彩るインディーならではの時代に流されないスタイルが嬉しい。
[COUNTRY REISSUES AND DISCOVERIES]
●TAMMY WYNETTE『The Essential Tammy Wynette』COL-90645 CD \2079
Apartment #9/Your Good Girl's Gonna Go Bad/My Elusive Dreams(with David Houston)/I Don't Wanna Play House/D-I-V-O-R-C-E/Stand By Your Man/He Loves Me All The Way/We Sure Can Love Each Other/Take Me(with George Jones)/Till I Get It Right/Bedtime Story/Kids Say The Darndest Things/Woman To Woman/Till I Can Make It On My Own 全14曲
昨年ケーブルTV局CMTがおこなった、カントリー80年の歴史からベスト・ソングを選ぶという人気投票"CMT's 100 Greatest Songs"で見事第1位に輝いた"Stand By Your Man"をはじめとする、故タミ―・ワイネットの新編集ベスト・アルバム。60年代後半から70年代、ナッシュヴィル・サウンドに対抗するエピック・サウンドと称されるスタイル、辣腕プロデューサー、ビリー・シェリルが演出する、むせびなくようなピート・ドレイクのスティールとストリングス、ジョーダネアーズのコーラスと絡み合った情感溢れるヴォーカルが正統カントリーの枠組に新しい息吹きを吹きこみ、まさに自立せんとする女性を唄った曲が特に南部の女性ファンの圧倒的な支持を得て17曲ものナンバー・ワン・ヒットを記録、ロレッタ・リンと共に女性カントリー・シンガーの新たなるスタンダードを確立した。グラミー賞を連続受賞した67年の"I Don't Wanna Play House"と68年の前記"Stand By Your Man"をはじめ、公私共にパートナーだったジョージ・ジョーンズとのトップテン・ヒット"Take Me"など、ナンバー・ワン7曲を含むオール・タイム・ベスト14曲集。
●CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL『Creedence Country』FCD-4509 CD \2,363
Lookin' For A Reason/Don't Look Now/Lodi/My Baby Left Me/Hello Mary Lou/Ramble Tamble/Cotton Fields/Before You Accuse Me/Wrote A Song For Everyone/Ooby Dooby/Cross Tie Walker/Lookin' Out My Back Door/Need Someone To Hold/Tearin' Up The Country/It's Just A Thought 全15曲
60年代末、ロックンロールをベースにブルーズ、R&B、カントリーなどディープ・サウスのテイストをめいっぱいぶちこんだ独特のサウンド、スワンプの匂いがプンプンする"Susie Q""Proud Mary"などのヒットで一時代を作ったクリ―デンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルの多くの作品から、シンプル極まりないロックンロールとカントリー・テイストを色濃く打ち出した曲を集めて81年に発売されたアルバムのCD化。ツイン・ギターとベース、ドラムスというシンプルなセットから叩き出される強烈なビートと、南部の香りいっぱいの泥臭いヴォーカルがなんともいえない味を演出している。ベーシックなロックンロール・ギターから、ブルーズ・ギター、チキン・ピッキンなど、ジョン・フォガティのリード・ギターが聴きどころ。CD化に際して3曲のボーナス・トラックを加えている。
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