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MAF-02 『ながいよう/ちむじゅらさん』 CD
\2,500-(本体\2,380-)

(別途送料\180.-)

「70年代に一世を風靡、日本のフォーク・ソングのスタンダート
「プカプカ」で知られるディラン・セカンドの元メンバー=ながいよう、三年振りにニュー・アルバム」
 ながいよう(永井洋)さんの待望の新作が完成した。タイトルの『ちむじゅらさん』は沖縄言葉で“優しい”を意味するのだという。

2枚のディスクに収まりよく振り分けられた16曲を聴いていると、部屋中に穏やかな時間が流れ、優しい気持ちにさせられる。つつましい日々の暮らし、愛しい人を想う心のうち、過ぎ去っていった日々、ややこしい世の中へのつぶやき、縁あって向き合うことになった沖縄の現実、等々。歌い手の人柄を伝えるかのように、優しく、切々とつづられていく。曲によっては8分近い“ながい”曲でさえ、繰り返し聴いては、その都度胸を打つ。

ディランII解散、五つの赤い風船75に参加して後、一度はながいさんは音楽の世界からすっかり身を引いてしまう。その彼が再びギターを手に、それまでほとんど手がけることのなかった作詞、作曲に挑み、さらに歌うという活動を始めたのは、かつての仲間であり、尊敬する西岡恭蔵氏の死をへてからのことという。以降、リハビリを繰り返すようにギターの練習に励み、歌を作り、ライブ活動を繰り返すようになる。そして2009年に1stアルバム「ながいよう/3つの赤いふんどし」を出し、約3年ぶりとなるのが今回の新作『ちむじゅらさん』。

ながいさんの歌を支えるバックのツボを押さえた演奏も素晴らしい。もう長く活動を共にしているギターの平光成、フィドルの杉本Q仁美、キーボードの井山あきのり、他、ゲストで参加している演奏者らのサポートも、歌に彩りを添えている。また、関西、というより現在の日本のブルーグラスシーンを牽引するプレイヤーたち(秋元慎/マンドリン)、村片和彦/バンジョー、久永雅史/ギター、ウッドベース)が脇を固めた4曲、とりわけ「6月23日」の端正かつ美しいストリングスは聞き物である。

ながいさんの歌に触れるうち、この声、語り口、非凡な才能が長く気づかれずに来たことを惜しみもするが、今、こうしてアルバムになって届けられたことは心底喜ばしい。これぞ、フォーク・ミュージック、21世紀になって、遅まきながら届けられた関西フォークの名盤と思える。今はなき西岡恭蔵、高田渡氏もこのアルバムを聴いたら、きっと「ながいちゃん、いいアルバム作ったなあ」と、この労作の出来に拍手しただろう。
               片山 明(「小さな町の小さなライブハウスから」著者)