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日本のアーティスト特集  2012/08/16

ブルーグラス
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[ブルーグラス]
●JMD-001 TARO & JORDAN『Did I Laugh in Your Dream?』CD\2,000-(本体\1,905-)

Whatever Tanuki Says Goes/Thin Lizard/Dollar Bill Blues/Colors/Stephen's Bento Box/Wilkins Street/Oh! Little Lady/Pour in Rain/Did I Laugh in Your Dream?

「マンドリンを生業にして10年、やっとコレだ!ってのができました」と、井上太郎が初めての自身名義のアルバムを発表しました。すばらしいマンドリン&ギター・デュオ・アルバムです。コピーに曰く、「カナダから来た最強のグルーヴ製造機、DUHKSのギタリスト、ジョーダン・マコンネルと、縦横無尽のマンドリン井上太郎、エンジニアのKABAMIXが、Taroの自宅のリビングルームに集まって半日で一気に録り上げたオリジナル曲の数々、アイリッシュ、オールドタイム、ブルーグラス、結局何だって一緒……」。ライナーで、ゴンチチのチチ松村氏曰く、「マンドリンとギターだけで、このグルーヴと高揚感を醸し出すとは恐れ入った。アクースティックミュージックの究極の形に、身も心もスカッとする。二人の若きツボ師に乾杯!」。タウンズ・バン・ザントとチャズ・ジャスティスのカバー以外、すばらしいオリジナル。ぜひ聴いてみてください。
●UICV-1020 斎藤ジョニー CD\3,000-(本体\2,857-)

夏の正体/D.P.T./お世話になります/Helpless/ぼくの友だち/One More Time/絶品ガール 他全12曲

 昨秋のメジャーデビューミニCD『アイ・アム・ジョニー』(\2,000-)から、早々と2枚目は自身の名を冠した初のフルアルバム。前作同様、プロデュース&アレンジャーに高野勲を配し、奥田民夫や岸谷香(プリンセス・プリンセス)らが参加という話題づくりとともに、ジョニーの瑞々しいオリジナルがバリバリのJ-Popに仕上がっている。……が、ジョニー自身のバンジョーやフラットピッキンに井上太郎のマンドリンと少路健介/Rayのフィドルなどの存在感もほどほどに出しつつ、ブルーグラス出身である斎藤ジョニーをメジャーでブレークさせようという試み。J-Popの良し悪しは別にして、バンジョーを抱えたジョニーがあちこちで見られる、そのことだけにでも応援のし甲斐があるというものだ。今年の宝塚でも爆発した若者ブルーグラス・パワー!バンジョー/マンドリン/ドブロ/フィドルなどを一生懸命に弾く彼ら、そんな若者たちをわれわれがサポートしなくて、どーする!!
●UICV-1017 齊藤ジョニー『アイ・アム・ジョニー』CD\2,000-(本体\1,905-)

ハックルベリー・フィン/Goin' Home/アルマジロ/線路際のワイルド/Eureka/さらば美しき女よ/グランファ/東京の女の子/Video Killed the Radio Star.

東北大学ブルーグラス所属の「雑貨屋フレーバー」時代に箱根ブルーグラス・フェスの人気投票で1位を獲得、若いブルーグラッサーに圧倒的な人気を誇ったすばらしいブルーグラスバンドから飛び出した齊藤ジョニー。そののちNHKのコンテスト「伊達物音楽闘技場」で1位を獲得、今年1月にはデビュー前にもかかわらずNHK全国放送「Music Japan」に出演、また2月に来日したテイラー・スウィフトのオープニングアクトに抜擢、大阪城ホール、日本武道館を2日間、香港のアジア・ワールド・アリーナ公演でアコギ1本で会場を沸かせたというジョニー。フラットピッキンはもちろん、バンジョーもバリバリとこなすブルーグラス・マルチプレイヤーで、ムーンシャイナー誌にもIBMAのWOB体験記などを寄稿してくれている。マンドリンにTARO、フィドルに雑貨屋時代以来のテクノ松本、ベースにパンクなミドリにいたイワミ・ケイゴのバンド、シューストリングスを核にした音作りで、マンドリンが全体をリードする初のJ-ポップグラスだ。
●RCSI-1062 PIRATES CANOE CD\1,050-(本体\1,000-)

●RCSI-1063 PIRATES CANOE『too』 CD\1,050-(本体\1,000-)


 大谷大学ブルーグラスで4人組女性ブルーグラス「フォーリップス」、そののち女性デュオ「ふたり乗り」などで活躍してきたマンドリンの河野沙羅と、このバンドでミュージシャンのキャリアをはじめたというハント鈴加(g)のふたりの英語詞のオリジナルを欅 夏那子のフィドルと岩城一彦のドブロ、そして吉岡孝のドラムスと谷口潤のベースがリズムを固めるパイレーツ・カヌー。2011年の第1作(RCSI-1062)と最新第2作(RCSI-1063)、ともに河野とハントの創るシュールな世界をバンドが巧く捉えているが、1枚目と2枚目の1年の時間差が完成度に表われている。フォノジェニックなハントのボーカルと向こう見ずな河野のマンドリン/音楽感性がうまくバンドに化学変化を促している様子が聴き取れる。第2作に収められた隠れトラックのインストなど、ストレングス・イン・ナンバーズ以来のアパラチア源流の世界観も感じられ、日本にも21世紀を体現するあたらしいユニットが生まれつつあるようだ。ムーンシャイナー8月号で彼女たちの特集がある。
●PATUX-231 大塚 章『First Tear』CD\2,573-(本体\2,450-)

 サム・ブッシュがアルバムライナーに、「1971年夏、米国ブルーグラス界を驚かせたブルーグラス45は、"我々の”音楽だったブルーグラスを真にインターナショナルにした音楽をクリエイトしていた。45がトラディショナル・ブルーグラスを熟知していたのは明らかだけれど、彼らがデイブ・ブルーベックの"Take 5"を演奏したとき、その音楽は永遠に変わった。とくに印象的だったのは大塚 章、インディアナ州ビーンブロッサムにそのときいた我々マンドリン弾きたちは、彼がいかに早くクリーンに、しかも味わい深く弾くことに強い印象を持った……」と書いてくれたように、たしかに「45」はブルーグラス史に大きな足跡を残した(……と、もう還暦を越した僕らは、遠慮なくそんな評価をいただく)。そしてアキラは、アメリカにとどまり、数々のバンドに参加、地元銀行に勤めながらワシントンDC地区のブルーグラスに大きな功績を残している。そんなアキラが、デビッド・グリア(g)やマイク・マンフォード(bj)、リッキー・シンプキンズ(f)らを基本に、日本から兄のジョッシュ大塚を含むさまざまなゲストを迎えて演じるブルーグラス、ニューグラス、スウィングなど。恩人でもある故ジョン・ダッフィに捧げたラスト、ライブ録音"Heartaches"のエディ・アドコックとトニー・ライスが凄い!! 40年前に米国移住したアキラ、念願のソロデビュー作は、すばらしい作品になった。
●RC-123 HARVEST MOON『In the Wind』CD\2,573-(本体\2,450-)

Grandpa's Black Pot/Cabin in the Valley/Brand New Bluegrass Boy in Heaven/Together 他全14曲

 20年前にLPアルバム『I Belong to That Music』(RC-110 \2,257-)を発表したハーベスト・ムーンが最新アルバムを引っ提げて復活である。京都の学生ブ ルーグラスが持つモダニズムを昇華したようなサウンドで、「ナンシーとピーター」のアイドル路線!?と「和 製ブルーグラス」というキャッチで人気を博した当時から20年……、この最新作ではところどころに相変わ らずのお茶目な仕掛けを残しつつ、ちょっと大人になった全曲英詩のオリジナル作品集。古田直樹(f)と木 下健太郎(m,f)による作詩作曲によるオリジナルを中心に、折り目正しい小野田浩二(bj)、そしてクールな毛 利武志(g)と植田雅也(bs、2曲で作曲)のベースに支えられて、今井佐由子(1曲で作詞)のリード・ボーカル がやさしく歌いかけてくれる。各人に似合わない英名のニックネームが付けられているが、彼らの創った英 詩とその歌は、そのニックネーム以上に馴染みやすいだろう。われわれ日本人がブルーグラスを唄うという ことに、英語も日本語も関係ない、あるのは、そして重要なのは音楽に対する真摯な態度だけである。彼ら、 ハーベスト・ムーンは自分たちの言葉で、自分たちの音楽を創り上げている。ぜひ、聴いてみて欲しい。
●RC-116 ROSINE CD\2,573-(本体\2,450-)価格改定

A Bad Old Lonesome Night/I Can't Go On Loving You/Please Don't Wake Me/Uncle Pen/Willie Roy The Crippled Boy/You're Gonna Miss Me/The L&N Don't Stop Here Any More/Take Me In Chains/Rosine Blues/Hang Your Head In Shame/Cold Cold Loving/Crazy Heart
素晴らしい国産ストレート・ブルーグラスの最新作です。ブルーグラスの最も基本的なスタイル(様式)がアメリカで生まれて50年、そしてそのノウハウがほぼ正しく日本に伝わってから30年、純国産トラッド・グラスをお楽しみ下さい。フラット&スクラッグスのバウンシーなビッグ・サウンドをメイン・テーマに、ビル・モンローからジョン・ダッフィ、そしてビル・ハレルからデル・マッカーリーまで、オリジナル・インストも含めた新旧の名曲を見事に演じ切っている。そんな表面的な仕上がり以上に、トラッド・グラスの「心」を自分達なりに捉えようと18年間、様々な試行錯誤を経て来た京都のトラッド・グラス・バンド、『ロジーン』待望のデビューCDアルバムです。山本雅幸(bj)、植田“キング”雅也(g)、毛利武志(f)、今井達也(bs)、そして山田善久(m)。2年がかりで遂に発売に漕ぎ着けました!より良いブルーグラスを目指した経緯はムーンシャイナー誌12月号( MS-1702 book\500-)をご覧ください。彼らに限らずですが、もっと日本のブルーグラス・バンドをサポートしましょう!ホンマ、これは真摯なトラディショナル・ブルーグラスに仕上がってマス!!(歌詞付き)
●ISG-2002 きたむらいづみ『Izumi, Sweet Grass』CD\2,800-(本体\2,667-)

Sing a Song for You/ハイロンサムな彼/今日は楽しいフェスティバル/フェスの夜/Sweet Heart Breakdown/夕日のハイウェイ/夢路 他全12曲

 60年代、中学生でバンジョーのに魅入られ、第1回の宝塚フェスに出演、70年代、追手門大学時代はブルーグラス「ブーフーウー」などを通じて広田みのりらを導き、その後、ロックやブルースにも傾倒し「ポプコン」関西地区準優勝他、メジャーアーティストとの録音や舞台を経験。再びアコースティックが恋しくなって、神大OBのユキちゃんやノブちゃんらとオールドタイムっぽい「ブルーグラス・スキャンダルズ」、結婚と子育てを経て、1997年以降「いづみ、スウィート・グラス」を始動、遂にCDアルバム発表にこぎつけた北村伊住。北村のボーカルとバンジョーに、宮崎勝之(m)と五十川清(drums,pedal steel g)がプロデュース兼任、そして坂庭省悟(g)、吉田悟士(bj)、川辺ぺっぺい(bs)を基本セットに、ゲストとして北村自身がファンだというクラスター・プラッカーズのリチャード・ベイリー(bj)、IBMA最優秀ドブロ奏者ロブ・アイクス(d)、注目の若手ケーシー・ドリーセン(f)、キャシー・キアボラ(v)らが手堅い音を創っている。「ブルーグラスを知らないフツーの人に、聴きやすいサウンドで、こんなに素晴らしい音楽と仲間」の存在を「知ってもらいたい」と言う彼女。ムーンシャイナー4月号(MS-1906 \525-)で本作に至る「気持ち」を寄稿している。暖かく優しいサウンドとは裏腹に、厳しいハイロンサムを直感的に知っている女性ブルーグラスのパイオニアの一人、「きたむらいづみ」。全曲オリジナルのデビュー・アルバムだ。
●ISG-2011 きたむらいづみ『Izumi』CD\2,800-(本体\2,666-)

All of Me/Are You Lonesome Tonight/I Wonder Where You Are Tonight/Hobo's Meditation 他全12曲

 2002年のデビュー作『Sweet Grass』(CD\2,800-)につづく、きたむらいづみの最新第2作。そのフォノジェニック(マイク/スピーカー乗りが抜群)なボーカルを、奥沢明雄がアレンジと共同プロデュースを担当、東京のカントリー/ブルーグラスのスーパーピッカーたちがバックアップ。ジミー・ロジャーズからプレスリー、ジャズやブルーグラスのスタンダードなどの5曲を散りばめつつ、フォスターの"Hard Times Come Again No More"に日本語詞をつけたもの、そして完全オリジナルが6曲、バランスよく配したポップな作品に仕上げている。バンジョーを弾きはじめた中学生の頃から知る彼女、70年代後半には確かマリア・マルダーに私淑し、関西のリズム&ブルース界でも活躍していた。そんな彼女が、家庭が落ち着いたのち、ブルーグラス・フェスに戻ってきてふたたび歌いはじめてから創りはじめたろうオリジナルの数々は、自分の音楽のルーツである自然や山をロマンチックに表現している。カントリーには尾崎孝のスティールやドブロ、徳武弘文のギター、宇戸俊秀のキーボードなど。ブルーグラスでは有田純弘(bj)、岸本一遥(f)、竹内信次(m)らに、渡辺茂(bs)、高橋結子(drums)らがリズムを支える。日本のあたらしいアコースティック音楽の形を創っている。
●BBR-001 LEMON SLICE『Remember Me』CD\2,000-(本体\1,905-)

Remember Me/Hobo's Meditation/Texas & Oklahoma/Lonesome Pine/Rain Please Go Away/Arkansas/Love Letters in the Sand/Kentucky Waltz 他全12曲

 大分の男女=ギター/ベース・デュオのレモン・スライスのデビュー作。大分のブルーグラス・バンド、レモン・パフィからフットワークの軽い上尾光邦(g)と渡辺優(bs)がデュオとして2005年に結成、以来各地のフェスやライブハウスで着実に実力と人気を得て、今年は箱根フェスの人気投票で、若者優位の中で3位に輝いている。渡辺のフォノジェニックなボーカルと上尾のフラットピッキン・ギターを軸にデュオで3曲、そのほかはハーベストムーンの植田雅也のプロデュースで京都風の味付けがなされたさわやかブルーグラスになっている。ふたりのほか、ゲストにはハーベストムーンの木下健太郎(m,f)、小野田浩士(bj)、宮守佳奈(f,v)、今井佐由子(v)、植田雅也(bs)、ロジーンの星川太志(d)、デイジービルの久永洋子(v)、カインド・オブ・ブルーの今村日利(bj)。
●BWCD-001 BACKWOODS MOUNTAINEERS『Home Sweet Home』CD\2,000-(本体\1,905-、歌詞対訳付)

Blue Bonnet Lane/When It's Lamp Lightin' Time in the Valley/Aunt Dinah's Quilting Party/When You Kneel at Mother's Grave/Rawhide 他全14曲

 1964年に結成というから46年前、その後にロストシティを経営することになる野崎謙治と渡米する田渕章二が、本作に参加している芝田光雄と西条佳峰とともに結成した当時の関西スーパーバンド、バックウッズ・マウンテニアーズ。そのリーダーだった野崎からバンド名を受け継いだ芝田が、立命館大学OBの三橋秀樹(g)と桃山学院大学OBの大西一由(m)とスネーク水谷(f)とともに編成した新生バックウッズ・マウンテニアーズのデビューCD。ちなみに芝田と西条は1965年、TBS主催の大学対抗バンド合戦で優勝した桃山学院大学ブルーグラス・ランブラーズのオリジナル・メンバーである。ここに収められた14曲はいずれも、彼らが大学生としてブルーグラスに打ち込んでいた時代の名曲ばかり。……技術よりも勘と雰囲気で初期の日本ブルーグラスを切り開いていったパイオニアたち、気負いなく、自然体で演じている。アルバム制作記はムーンシャイナー9月号。
●HC-2011 ハニークッキーズ『Honey Cookies』CD-R\1,000-(本体\952-)

Freight Train/Scottsboro/In Tall Buildings/Gonna Lay Down My Old Guitar/あったかい歌。

ムーンシャイナー誌10月号で紹介した関東の若手ブルーグラッサーたち、名古屋大学でサニービレッジというブルーグラスバンドを結成、滋賀フェスのチャンピオンにもなった手塚洋輔のフラットピッキン・ギターと手塚里美のベースに、東京でブルーグラス両親のもとに育った手島宏夢のフィドルのトリオ、現在東京を中心に活躍する若手、ハニークッキーズの5曲入りデビューミニCDアルバム。
●RCSI-1009 マロ・カワバタ『Rippling Water』CD \2,572-(本体\2,450-)

 米国ブルーグラス界で活躍をつづけるマロ・カワバ タの最新第2作である。前作『Carolina Blue』(CCCD-0186 \2,573-)から7年、3度におよぶ大手術を乗り越えてなお、ブルーグラスに夢をかけるマロの気持ち が見事に反映されたすばらしいトラッドグラス作品に仕上がっている。マイク・コンプトン(m)、ロン・スチュ ワート(f)、ロブ・アイクス(d)、ロバート・ゲートリー(bs)という申し分ないバックと、プロデューサーでも ありハーモニー・ボーカルも担当したキース・リトル…、さすがキース、見事に趣味の良いトラッドグラスに まとめ上げている。ローズ・マドックスの名曲や、クリフ・ウォルドロンの懐かしい"By the River"、日本人には馴染みの「寂しい草原に埋めないで」等に、 カーター・ファミリーやレスター・フラット名曲など、聴きやすい作品に仕上げている。
●RMA-0704 マエドリン・カフェ『cafe "bluegrass』CD\1,500-(本体\1,429-)

 広島〜関西にかけて活躍する前田宏樹と秋山龍哉の 若手ブルーグラス・デュオ「maEdolin Cafe」。若者らしい覇気と指離れの良さから生まれるクリアーなマン ドリンとフラットピッキン・ギターで、ふたりのオリジナル・インスト2曲とジミー・ロジャーズやレスター・ フラット、そして吉津正司の18番などのボーカルもの、ジェリー・リビングストーンのジャズ小品、そしてスタ ンダードのスロー・ゴスペル・インストからビル・モンローでしめる全8曲、若者らしい向こう見ずな突込み がすばらしい!! 同時に若さに似合わぬ渋さも聴かせ、ブルーグラスにのめり込んださまが感じられる。日本のブルーグラスも大丈夫だぞ!! 若者たちを激励しよう!
●HAPPY-0616 ふたり乗り『パッチラバー』CD\2,000-(本体\1,905-)

Dear My Sir/放課後/吾輩は猫なのか/林檎の森 他10曲

 サラとツバサ、マンドリンとベースというユニーク な女性デュオの第2作は、はっぴぃえんどの鈴木茂プロデュース。ブッシュ・チョップを響かせながら、ソ ウルやドゥーワップが好きだという若い女の子ふたりが瑞々しい感覚で聴かせるワン&オンリーな世界。京 都の大谷大学アメ民で結成されたフォーリップス(ムーンシャイナー誌2004年7月号特集=MS-2109 \525-)から誕生したふたり乗りの特集はムーンシャイナー誌2006年1月号(MS-2303 \525-)。日本でも元気な若者ブルーグラス…!!
●MW-001 G-ON!『Club Cat』CD\2,940-(本体\2,800-)

Brown County Breakdown/Tall Pines/Pain in My Heart/It's Mighty Dirk to Travel/Rain Please Go Away/Panhandle Country/Can't You Hear Me Callin' 他全13曲

東京周辺の、いわゆる関東ブルーグラスを見事に集約した秀作『ジー・オン!』が遂に発表である。関西出身で横浜在住のフィドラー、祇園隆司が中心となり、岸本一遥(=勇人)と茂泉次郎とのトリプル・フィドルを軸に、ビル・モンローと彼のフィドラー達が完成させたブルーグラスの様式美のあるパターンを徹底的に追求した結果が、見事なサウンドに結実している。トリプル・フィドル(バイオリン3台によるハーモニー)は1950年代に完成されたものの、ここに表現されているのは1970年代、モンロー・サウンドが究極の完成を見た頃の手法だ。恐らく祇園のアイドルでもあろうケニー・ベイカーとバディー・スパイカーらの発想法やセンスを下敷きに、イントロや間奏はもちろん、フィドラーならではのバックアップ等々、あるスタイルにおけるブルーグラス・フィドルの美学が凝縮されている。バンジョーの増田 浩(2曲で有田純弘)とマンドリンの竹内信次(2曲でサンディー・ロスマン)らの意表を突くアイデアや、小島慎司のドブロとジョン藤村のベース、そしてベテラン・ボーカリスト達、笹部益生、柳沢光昭、奥沢明雄の3人3様の味わい深いボーカル。制作に10年がかかったという本作、かかわったミュージシャン達には様々な思いがあろうが、聴く者にとっては誠に見事な、関東ブルーグラスの90年代を的確に捉えた傑作である。
●LDM-0201 TEQUILA CIRCUIT CD\2,625- (本体\2,500-)

Long Way You Run/Jamaica Say You Will/Streets of Laredo/Deep River Blues/Vamp in the Middle/Wild Horses/Norwegian Wood/Every Woman/Reason To Believe/Warasiti/San Diego Serenade/Streets of London/Ophelia/We Just Disagree/Rosie.

 東京のブルーグラス界から生まれた3人のギタリスト、シメ、西海、奥沢が自分達のルーツにある上記、70年代のアメリカン・ミュージックの有名曲をカバーする。トラッド、ジョン・ハートフォード、トム・ウエイツ、デイブ・メイソン、ミック・ジャガーからビートルズ等々、ブルーグラス、フォーク、カントリー、ロックの壁を越えた名曲の数々を見事な原語で聴かせる。シメのボーカルを中心に、奥沢のギターとマンドリンとハーモニー、そしてプロデューサーでもある西海がギター、マンドリン、バンジョー、ドブロとハーモニーを担当するきわめてシンプルでアコースティックな作品に仕上げている。彼等と同じ音楽体験をしてきた人達も今や40代。しかし、そんな人達が日本の音楽文化を担ってきて、現在も創り続けている。そんな人達の気分を代弁するような、肩の力を抜いて、「好きなものは好き」と言える、スタンスが気持ちいい。3人とも、現在も日本のポップ音楽界の最先端で活躍を続けている、その確かな技術に裏打ちされたとても暖かなアコースティック音楽だ。
●BIT-0101 TEQUILA CIRCUIT『Hello, Old Friend』CD \2,500-(本体\2,381-)

Love the One You're With/Mansion on the Hill/Catfish John/In Tall Buildings/Ob La Di Ob La Da/はこぶねの唄/Small Town Talk/Water Is Wide 他全15曲

 シメ、西海孝、奥沢明雄のアコースティック・トリ オ、テキーラ・サーキットの最新第3作。ブルーグラス出身ながら、フォーク、カントリー、ロックなど、さ まざまな分野でプロとして活躍する3人、BMGからソロ・アルバムもリリースしたシメ(中嶋栄男)のすば らしいボーカルを中心に、70年代のウェストコースト・サウンドを思わせる美しいハーモニーと、西海と奥沢 のすばらしいギター(バンジョーとマンドリンも数曲)で聴かせる名曲のカバー集。シメと奥沢のオリジナル とインストが各1曲も含んで、70年代にアメリカン・ミュージックに親しんだ世代には懐かしく、心癒され るアルバムだろう。
●LBCO-01006 想ワレ『想われ』CD\1,500-(本体\1,429-)

I'm Yours/願い/ぴんく/憧れ/時代を乗せて/あなたと私/神様からの贈り物/ケロケロソング. 全8曲

 関西を中心に活躍するフォーク・デュオ、上田えみこ(g)と吉本ちえ実(autoharp,perc)の「想ワレ」の3枚目に当たる最新作。22歳というふたりの若い女の子の感性で素直に書かれた詞と曲、それぞれに、吉崎ひろしや北村謙のバンジョー、宮崎勝之のマンドリン、水谷 裕のフィドル、今井達也のベース他ブルーグラス人脈や、古橋一晃のエレキギター、松井正樹や中尾 唱のキーボード、そして田中良太のパーカッションに井上哲也のエレベを従えた作品。
 なお、本作『想われ』と同時発売でふたりだけで録音した『想い』(LBCO-01005 CD\1,500-)も在庫している。
●STCD-003 サザン・トレイン『ファースト・アルバム』CD\1,800-(本体\1,714-)

Goin' Down This Road Feelin' Bad(Lonesome Road Blues)/Walk Right In/Freight Train/Can't Help Myself/I Am a Pilgrim/Down by the Riverside 他全12曲

 大阪のブルースグラス・バンド、サザントレインの1987年発 表のデビュー作がCD化された。ブルーグラスという共通のノウハウを持った、村上透(m)、中井均(g)、渥 美博也(bs)、長谷川光(bj)が、ブルーズの名曲カバーに挑んだ意欲作。アグレッシブなマンドリン、バン ジョー(スライドも含む)、ギターの間奏に囲まれて村上と中井のブルース・ボーカル、ハーモニーが 生き生きとしている。マンドリンのクロスピッキンを効果的に使った"Sloopy Drunk"や、ハードコア・ブルーグラスを意識しながらジャズグラスになってしま う"C'mon if You're Comin`"他、スライド・バンジョーやゲストのハーモニカを効果的に配した作品な ど、「ブルーズグラス」と呼ぶにふさわしいアグレッシヴな出来だ。
●STCD-004 島村俊樹&村上 透『部屋のあかり; Fiddle Tunes and Songs』CD\1,575-(本体\1,500-)

Goin' Down This Road Feelin' Bad/Durang's Hornpipe/部屋のあかり/Forked Deer/夜行特急 他全8曲

 大阪の南部でブルーグラスからはじまり、ブルース やオールドタイムへと世界を広げていったふたり、マンドリン/ギターで独自のブルースグラスを標榜する 村上と、ケニー・ベイカーからオールドタイム・フィドルの魅力に取りつかれた島村がコンビを組んだフィド ル・チューンとオリジナル曲を収めたミニ・アルバム。有名トラッドのボーカルものから入り、クロウハン マー・バンジョーの福田淳一郎と島村のフィドル&バンジョー、フレッド・コッカラムやエド・ヘイリーらの フィドル・チューンではギターとバンジョを聴かせ、そしてカーター・ファミリー調とブルース/ラグタイム 調の村上のオリジナル2曲、そして最後にゲスト福田のソロ・バンジョーで〆る。アパラチアのルーツ音楽が 日本にも確実に根を下ろしていることが分かる、すばらしい作品だ。
●DMD-1015 森繁 昇『陽が昇るまでに』CD\2,573-(本体\2,450-)

 神戸の元ロストシティ・キャッツのフィドラー「森繁昇物語」の連載が2012年3月号からはじまり、8月号で「ナッシュビル」到着。1973年にキャッツの一員として渡米、そのまま残留しスコッティ・ストーンマン亡き後のストーンマン・ファミリーをはじめ、1975年にはブルー・フィールドというニューグラスバンドを結成、メジャーデビューも経験している森繁、クリスチャンとなって以来1984年から伝道アルバムを発表している。15作目となるこの最新作は、ドブロに「アンドレ」佐藤博之、マンドリンに宮崎勝之、バンジョーに吉崎ひろし、ベースに田中久之らを迎え、自身も久々にフィドルを手にしてブルーグラスを意識した作品に創り上げた日本語ブルーグラス・ゴスペル。歌の上手さ、オリジナルの出来栄え、そしてアレンジなど、どれをとっても見事なメッセージを持ったすばらしい音楽作品。
●CH-001 チーフ井上とフォークゲリラボーイズ『100万回愛してる!!』\CD\2,499-(本体\2,380-)

心の宇宙/Can't You Hear Me Callin'?/セイクレット・ソング/High Lonesome Talking Beat/Blue Moon of Kentucky/White House Blues/Yeah!マスター/みんな地下鉄みたいだ 他全10曲

 昨夏の箱根フェスでチーフ井上が唄った「どこへ行くブルーグラス」(本作には未収録)は多くのベテラン・ブルーグラッサーを唸らせた。それは日本語ながら、彼の歌唱力はもちろん、ブルーグラスへの愛情と同時にそのスタンスを見事に語り切ったその構成力に、「マイッタ」のであろう。ムーンシャイナー誌1月号(\500-)で彼が語っている様に、ブルーグラスとは無縁でフォーク、しかも日本のフォークを標榜していた彼が、バイト先の銀座ロッキートップで出会ったブルーグラス。その解釈と融合の過程が語られていたインタビューで明らかな様に、チーフ井上はナターシャ・セブンを通らずに「日本語のブルーグラス」を平気で創りはじめている。日本のブルーグラスにとって長年に渡る課題でもある「日本語とブルーグラス」は、単に音楽的な課題である。誰がいい曲を創り、うまく演じるのかが問題であり、もちろん、それがいいブルーグラスか否かは、彼らにとっても、我々にとっても重要ではない。ここにはモンロー曲の新解釈と同時にオリジナルが、チーフ井上の解釈によるハイロンサム・フィーリングで収められている。実際はライブでこそ本領が発揮できるのであろう「イキのいい若手」ピッカー達、越田久崇(bj)、南 三朗(g)、石埜裕幸(bs)、そして山崎規夫(f)がチーフをサポートする。ちなみに2月、関西ツアーを予定している。関東方面で話題の新しいタイプの日本語ブルーグラス・バンドの登場である。
●PET-001プッチ・MON『Many Happy Returns』CD\2,000-(本体CD\1,905-)  

 岡山を本拠に活躍を続けるプッチ・モンのデビューCDである。大学時代に知り合った磯山隆史(bj,d,g)&好美(g)夫婦に娘さん、ヒロミを中心に、関ともみのハーモニー・ボーカルと城幸輔のベースという5人組。録音を含めて技術的には、まだまだ不満な点もあるだろうが、ア・カペラの"Angel Band"から、娘さんのノビノビとしたボーカルにリードされるように、自分たちの好きな曲を英語ながら丁寧に、心を込めて演奏している様子が伝わり、全国でブルーグラスを生活の一部にしている人たちに、勇気を与えてくれる作品だ。1枚目から音楽的にも完璧なものを作ることの難しさは、やってみた者でないと分からない。ぜひ、2枚目、3枚目…と継続して活動してもらいたい。ファミリーでブルーグラスをやる…、なんて素晴らしいことだろう。
●GVAB-001 GREEN VALLEY ACOUSTIC BAND『Ripe in Bluegrass』CD\2,000-(本体\1,905-、歌詞付)

Little Mountain Church House/I'm Using My Bible for a Roadmap/Old Home Place/Little Cabin Home on the Hill/Bury Me Beneath the Willow 他全10曲

 1960年代の中頃に関西で活躍した、ボーカル&ギターの浜田昇(元大阪市大グリーン・マウンテン・トッ プス)と、フィドルの平地澄彦(元ロッコー・マウンテン・ボーイズ)を中心に、1970年代以降にそれぞれ学 生ブルーグラスで活躍した3人、ハーモニーとマンドリンに平地千鶴子、バンジョーの西村和志(追手門学院 大ブルーグラス)、ハーモニーとベースに日高真吾(元大阪市大)で結成されたグリーン・バレイ・アコース ティック・バンドのデビュー作。帯コピーに曰く、「これが大人のブルーグラスだ」とあるように、選曲、アレ ンジともに丁寧に作られており、各人の安定した力量がバランスよく聴ける。60年代から活躍するベテラン らしい落ち着いた癒し系ブルーグラスである。…1960年代、日本ブルーグラスの第一世代からの、嬉しいブ ルーグラス・アルバムだ。
●KONCDR-006 ストーヴ『The Bluegrass Band of Hokkaido, Japan』CD-R\1,000-(本体\952-)

俺はくわがた虫だ/山川草木/通り過ぎる街/花/森のワルツ/ウィスキー・ソング/墓に盆花 他全13曲

 ムーンシャイナー7月号で特集された北海道のブルーグラス・バンド、デビュー作。全員がブルーグラ ス・ノウハウをマスターしたベテラン・ピッカーたちが、ギター&ボーカルの中原直彦の書いた日本語のオ リジナル(ハンク・ウィリアムズ「We Live in Two Different Worlds」、喜納昌吉「花」、トム・パクストン「Ramblin' Boy」を除く)をストレート・ブルーグラスする。ハード・トゥ・ファインドのハンマーダルシ マ奏者としても知られる小松崎健(bj,bv)、金一 健(m,tv)、広吉直樹(f)、大沼 元(bs)。ふるさとの自 然や日々の思いがストレートに伝わる自然な詩作とカーター・ファミリー(アパラチア)伝統をベースにし たメロディーにときおりブルーヨーデルを加えるなど、ブルーグラスへの知識と愛情にベテランらしい工夫を 加えた中原のアイデアは見事だ。ブルーグラス・ワルツ曲などは特にいい。
●ADR-1707 グリーン・マウンテン・ボーイズ『春来れば』CD\1,999-(本体\1,904-)

君を待っている/帰ろう、ふるさとへ/小さな教会堂/バラの花の下で/悲しい別れ/愛しい人 他全10曲  

兵庫県の真ん中あたり、かつては鉱山で知られた生野町を本拠に35年間、高石ともやとナターシャセブンの伝統を継承し、活躍をつづけているブルーグラス・バ ンド、グリーン・マウンテン・ボーイズ初のCDアルバム。タイトル曲は"Little Annie"ほか、"Life's Like a Mountain Railroad"、"Little Mountain Church"、"Will the Roses Bloom"、"Little Darling Pal of Mine"など、カーター・ファミリーやブルーグラス曲、またジョッシュ大塚の"Bring Me Back to My Home"などの日本語訳詞、そしてオリジナルの「悲しい別れ」、全曲を橋本隆司(g,autoharp)の詩(1 曲のみ高石ともや補作詞)で、松本博(m,g)、小島公明(bs)、奥野康弘(bj,g)、橋本ひとみ(v)のメンバーに、 足立安弘(harmonica)、橋本久男(autoharp)、高石とし子(v)らがゲスト参加。ブルーグラス編成ながら日本 語詩のメッセージに力点を置いた丁寧な音作りで、35年にわたる生活を歌い込んでいる。ムーンシャイナー 誌11月号で特集。
●RC-119 宮崎勝之『Mandoscape』CD\2,573-(本体\2,450-)

HIDIN’ IN THE BUSH . STRAY KAT.DANCE OF THE CRICKET . FIRST DAY OF JUNE.NEW WORLD . GO HITHER TO GO YONDER.BE GOOD FOR PAIN . BUTTERBUR SPROUT . FORKED DEER . PECAN GROVE

 マンドリニスト、宮崎の第2作はデビッド・グリア 制作のナッシュビル録音。デビッド(g)の他、オウブリー・ヘイニー(f)、スコット・ベスタル(bj)、そして ビクター・クラウス(bs)といったナッシュビルのトップ・ミュージシャンをバックに、1曲目のホットな早 弾きから、日本的な情感を漂わせるメロディーや、トラッドなフィドル・チューンを思わせる曲など、2曲 のカバー(モンロー曲とトラッド)を除いて8曲のオリジナルを、宮崎ならではのシュアーなピッキングで 聴かせる。高田渡がライナーで書いているように、「宮崎さんの音にはやさしさ」があるとは、いい得て妙だ。 アタックの強いブルーグラス奏法なのに、どこか日本的情緒に通じる繊細さが宮崎の持ち味だと思う。縦横 無尽のグリアー・ギターに、超売れっ子フィドラー・ヘイニー、ベラ・フレックに迫るスコット・ベスタル、そ してアリソンの弟でビル・フリーゼルとの前衛ジャズからライル・ラベットのビッグバンドまでをこなすビ クター・クラウス、申し分ないバック・バンドが宮崎の情感にどう応えるか、そんな興味も一杯だ。
●RC-118 THE MITSUYA CLAN 三津谷組『Y'all come an' see us, y'hear! まいど、おおきに』CD\2,573-(本体\2,450-)

Cotton Eyed Joe/Bicycle Built for Two/Cluck Old Hen/Julie's Waltz/When the Train Comes Along/Keep My Skillet Good'n Greasy/The Big Scioty/Stories the Crow Told Me/Kitten on the Keys/Little Rabbit Where's Your Mammy?/Midnight on the Water/Go Long Mule.

  1970年代前半に関西地区を中心に大活躍した名バンド、ロッコー・マウンテン・ボーイズのバンジョー 奏者として知られる三津谷昌嘉(ドン・レノに影響され、洗練されたジャズやポップも熟すスリーフィン ガー・バンジョー奏者として高い評価を持つ)。彼の ミュージシャンとしての幅広い感性が見事に結実したこの作品は、彼(マサ)の家族=チーコ夫人、タッキー、 リノ=を中心に、子供たちの友人である渡辺ヒサシと親たちの友人の細谷ヒロシを加えた6人組によるオー ルドタイム・ストリングバンド。もちろんイキなバンド名は、三津谷家のある全国的に知られる大阪ミナミを 意識したものだ。夫婦2人共にブルーグラス・バンジョー奏者でもある、マサの見事なクロウハンマー・バ ンジョー(中に彼らしいラグタイムを編曲したフィンガースタイルも聞き物!)と、チーコの元気ボーカルを 軸に、リノ(12才)の見事なオールドタイム・フィドル・グルーヴに乗って、タッキー(16才)のギターとヒサシ (16才)のマンドリンが的確なビートを刻んでいく。オールドタイム音楽の有名曲を中心に、この音楽の最 も重要な意義でもある、あくまでも「家族」の「手作り」 の「親から子へ」と伝えられる音楽を「楽しく」、そして「明るく」演じてくれる。
●YS-001 山本さとし『From Dawn Till Dark』CD-R \1,575-(本体\1,500-)

Boobaby's Lullaby/Down by the Sally Gardens/Apples in Winter-O'Mahony's-Kesh Jig 他8曲

 神戸大学ブルーグラスでパイパマンなどでフィドラーとして活躍した山本智史君、卒 業の記念で発表したケルティック・フィドル集。大学でブルーグラスを弾きはじめ、もっとも難易度 の高いフィドルと格闘しながらここまでやってきた山本クン、エライッ!! 大坪ヨウスケのギター に、自身のマンドリンとMIDIプログラムで、アイリッシュの定番から、ボブ・ウィルスの"Faded Love"、そしてオリジナルのタイトル曲まで、フィドラーらしく、なかなかのロマンチストな!?選曲 である。こうして人生の区切りにCDアルバムを発表するのは、素晴らしいことだ。願わくば今後の 長い人生にもフィドルを友にしてもらいたいものだ…。応援しよう!!
●MR-1290 LEONA『A New Peace Within』CD\2,573-(本体\2,450-)

Little Cabin Home on the Hill/Close By/Cherokee Shuffle/Roly Poly/Soldier's Joy 他全12曲

2009年にETSU(東テネシー州立大学)を卒業した徳武レオナのデビューCDアルバム。テネシーに住んで6年、「ようやく念願のアルバムを完成させることができました。『ありのままの私』の音楽をお届けいたします」と、レオナがライナーに書いているように、自分の周囲の仲間たちとのさまざまな思いを形にしたもので、フィドルのオリジナル・インストが3曲、夫でもあるバンジョー奏者、J.P.マシスとのオリジナル・ボーカル曲が3曲、そしてモンロー/フラット/スタンレーのスタンダードにトラッドフィドルチューンが2曲に、レオナの18番"Roly Poly"の全12曲。J.P.のパワー・バンジョーと、ジョン・スーツまたはアーロン・ジャクソンのギターとマンドリン、ボビー・オズボーンJr.のベースに、さすが大人の音を聴かせるレオナのお父さん、ドクターKこと徳武弘文が3曲でゲスト。デビューアルバムらしい、ちょっと硬さはあるけれど、生まれも育ちも東京のお嬢さんがアパラチアで6年間、頑張った「ありのまま」が収められている。
●PF-071 PADDY FIELD CD\2,000(本体\1,905-)

 中原清隆のマンドリンを中心に来田千佐登のフルー ト、げんさんのギター、今村将のベース、高賀忍のパーカッションの5人組による大阪のドーグ系アコース ティック・スウィング、バディー・フィールドを特集。 彼らのデビュー作は、中原とげんさんのオリジナルが各7曲と5曲、ドーグ手法をベースにジャズ/ブルー グラス/カリプソ/ボサノバ/ニューエイジからカートゥーンっぽいクスグリ物等々、…実に自由に好きな ものを組み合わせて自分たちの音楽を創っている。その闊達さが成功しているのだろう、完成度の高い楽し いドーグ/アコースティック作品に仕上がっている。
●RCSI-1057 THE OZAKI BROTHERS『Till We Meet Again』CD\2,573-(本体\2,450-)

You Left Me to Cry/What a Friend We Have in Jesus/It May Be Silly/When I Stop Dreamin'/Tennessee Border/My Old Ky Home/Remember Me 他全13曲

日本ブルーグラスのパイオニア、尾崎恭(80)のギターと尾崎恒(78)のマンドリンによる見事な、そして初デビューのブラザーデュオ作品だ。失礼ながら、とてもお年とは思えない、かくしゃくとしたボーカルとハーモニー(この丁寧な歌い方は学ぶべし!)、そしてあまりにもすばらしいマンドリンとおふたりのリズム感。バックアップ陣にはクリス・シャープ(g)とジョージ・バックナー(bj)にケビン・カーバーグ(bs)という2008年来日組に、マット・コム(f)と小島慎司(d)が、いまどきのドライブとは違うヒルビリーなビートを刻む中、趣味のいい演奏を聴かせ、笹部益夫と坂本愛江がハーモニーサポートする。
●SYOBI-0001 RALPHLS『First』CD\1,260(本体\1,200-)

Choo Choo Comin'/Big Tilda/Bound To Ride/Hard Times/Cluck Old Hen.

宝塚フェスでのアンコール・バンドの一つ、そして箱根フェス恒例の人気投票第1位獲得バンド『ラルフルズ』のデビューCDである。バンド名と収録曲からお気付きのように、ラルフ・スタンレーのバンジョーに惚れ込んだ2人、小杉春海と木村達弥に、ベースの三上保というトリオ。この「無謀」なツイン・バンジョーとベースだけというコンセプトが新鮮な驚きをもたらしてくれる。そう、ブルーグラスとは、かくも「抑え難い衝動」なのだ。全曲が2分以内という短さだが、彼らの衝動がストレートに伝わる力強い、そして「コスギ」らしく完全燃焼した作品だ。ブルーグラスとその仲間を愛するバンジョー・ピッカー2人が到達した素晴らしい境地を覗いてみませんか?
[レッド・クレイ・アーカイブ・シリーズ]
●RC-101 IT'S A CRYING TIME CD-R \2,079-(本体\1,980-)

Love Please Come Home/Old Kentucky Bound/Clear water/Out On The Ocean/Mother Call My name In Prayer/End Of memory Lane/Deep River Blues/Kentucky Waltz/Gold Rush/I'm Sitting On Top Of The World/Harbor Of Love/Blue Kentucky Mountain

2009年の宝塚ブルーグラス・フェスで30有余年ぶりに復活した伝説のバンド、イッツ・ア・クライング・タイムが日本のブルーグラス・レーベルの先がけ、レッド・クレイ・レコードの第一弾として'72年に発表したアルバムがレッド・クレイ・アーカイブシリーズとしてリイッシュされた。清水靖之(bj)山口さとし(g)、大西一由(m)、勝見明(bs)というメンバーで、当時の最先端のテクニック、キース=トンプソンのメロディック・スタイルとドン・レノのスタイルが見事に共存した強烈な個性による独創的なバンジョー、レスター・フラットに絶賛されたというテナー・ボーカル、レッド・アレン、チャーリー・モンロー、スタンレー等々、トラディショナル・ブルーグラスの本質を掴んだ選曲による演奏は今なお色褪せない。ビル・モンローが兄のチャーリー・モンローのトリビュート・アルバムを作るにあたり、息子のジェームス・モンローに、このIt's A Crying Timeのアルバムから学ぶようにと言ったという逸話も残されている。
●RC-102 SHU & NOBU ISHIDA 『Sweetest Gift』CD-R \2,079-(本体\1,980-)

On A Hill Lone And Gray/Precious Moment/I Miss My Dear Mother And Dad/Take Me In The Lifeboat/Cherokee Shffle/Little Red Shose/Mother Of The Hill/When I Stop Dreaming/Beautiful/We're Drifting A -part/Sweetest Gift A Mother's Smile/Joys Of Love 全12曲

 B.O.Mのレッド・クレイ・レーベルアーカイブシリーズ最新は1972年の作品、マンドリンとギターのワイフ・アンド・ハズバント・スタイル。ブルー・スカイ・ボーイズ、カーターファミリー、モンロー・ブラザーズからルービン・ブラザーズなどからの古いカントリーソングを中心に選曲されている。彼女の爆裂的歌唱スタイルは「今なおそれをしのぐものはいない」位強力であるのみならずギターにも注目いただきたい。ごく最近彼らに会ったのですが40年近くたった今もなお強力なボーカルであった。
[カントリー]
●TOYU-100511 宮前ユキ『White Lightning』CD\2,800-(本体\2,667-)

Ring of Fire/Today I Started Loving You Again/Honky Tonk Angels/Tennessee Waltz 他全11曲

 前作『Waltz of the Wind〜風のワルツ〜』以来、5年ぶりの最新作は、奥沢明雄(g,m,v)、尾崎博志(d)らにアリソン・ブラウン(bj)、マット・コム(f)、ドン・リグズビー(m,v)、マーク・シャッツ(bs)らアコースティックと、村中愛靖、スリム山口、ロイド・グリーン(steel g)、ゲアリー・ウエスト(ebs)、ラリー・アマヌイック、吉田宏治(drums)らのエレキ・セットが宮前のボーカルをフワッと包み込む。カントリースタンダード名曲とオリジナル曲をバランス良く配し、デビュー40年が近付いた大ベテランの丁寧なメッセージを届ける。
●PB-2427 M.Z.M.『We are Friends!』CD2枚組\3,500-(本体\3,334-)

 2011年作品、現在の日本のカントリー・シーンを一望するCD2枚組全18曲。田村大介、坂本愛江、山本康世、マイク・ダン、福原照晃、ハンク佐々木、森下昇、坂本孝昭、宮前ユキ、おおの眞虎、三田ひろし、チャーリー永谷、愛江&マイクのシンガー13組をマイク・ダン(bs)、尾崎 孝(steel g)、松本 亮(drums)の3人「MZM」を中心に、奥沢明雄、西海孝、古橋一晃、有田純弘、岸本一遥、松田幸一、徳武弘文ほかがバックアップ。
●WRR-081 オリーヴ『Favorite』CD\2,300-(本体\2,191-)

Old Fashioned Girl/There's a New Moon Over My Shoulder/Once a Day/I Wonder Where You Are Tonight/Broken Heart for Sale/Cotton Fields 他全13曲

 岡山の女性カントリー・シンガー、オリーヴのソロ・デビュー(?)・アルバム。タイトル通り、自分の好きな新旧のカントリー・ソングを取り上げ、東京でヒアーズ・フォー・ゼアーズの中沼(bj,g,steel g)や坂野(f)の他、小野塚範夫(g,d)らをバックに録音。ジョニ・ハームズやヒザー・マイルスらの新世代の女性カントリーやカントリー・スタンダードを、ノビノビと張りのあるボーカルで歌う
●MSY-0100 HIROKO with the TROUBADOURS『Rough'n Round』CD\2,548-(本体\2,427-)

Crazy/South of the Border/Help Make It Thru the Nite/Sweet Dreams/Rt.66/Jambalaya/I Still Miss Someone/Someday Soon/City of New Orleans 他全13曲

 アーネスト・タブのバンド名から拝借したという、 悠々自適のおじ様おば様バンド「ヒロコ&トルバドールズ」の自費制作アルバム。「カントリー!!」という より、50年代から60年代の「アメリカン・ミュージックを楽しむ」といった風である。パッツィー・ク ラインをアイドルにしつつもハスキーなブルース感があるヒロコのボーカルを軸にテレキャスター、べダル・ スティール、ピアノが楽しそうに音楽を創っている。
●AK-0004 FOUR BEAT PARADISE『A Tribute to the Cherokee Cowboys』CD\2,500-(本体\2,381-)

One More Time/Faded Love/Heartaches by the Number/Lily Dale/Crazy Arms/City Lights/A Mansion on the Hill/Release Me/I Love you Because 他全14曲

 関西を中心に活躍するフォー・ビート・パラダイス。 バンド名が語るとおり、1930年代のウェスタン・スウィングの流れを汲んでアーネスト・タブやウェッブ・ピ アースらによってホンキー・トンク・スタイルが生まれ、1950年代後半にレイ・プライスのチェロキー・カ ウボーイズによって確立されたカントリーの典型的な音楽スタイルで、フォー・ビートのベースとドラムスの シャッフル・リズムに乗ってスティール・ギターとフィドル、そしてギターが織り成すフレージングの美学が 堪能できる、というもの。スティール・ギターの小林章を中心に、70年代にはロッコー・マウンテン・ボー イズで活躍したフィドルの平地澄彦、エレキにグラディ・マーティン追悼特集をムーンシャイナー誌に寄 稿してくれた荻野信彦らを配し、女性ボーカルの小林敦子をフィーチャーして、チェロキー・カウボーイズ に捧げる正統派のビッグ・スウィンギン・カントリーを聴かせてくれる。
●BOOK-41 マイク伊藤『音楽から見えるアメリカ』Book\2,100-(本体\2,000-)

 現在、ミズーリ州ブランソンでフィドル/バンジョーで活躍する在米37年の日本人ミュージシャン、 マイク伊藤の半生記の単行本。ブルーグラスからカントリーへ、アメリカン・ショービジネスの楽しい話や苦 労話など、誰もが夢見るミュージシャンへの道がつづられている。ムーンシャイナー誌5月号にもマイク伊 藤の寄稿がある。
[オールドタイム]
●AJB-0902 内田昭弘『aki solo』CD-R\1,500-(本体\1,429-)

Callahan/Young Dan Tucker/Ducks on the Pond/Sugar Hill/Boatsman/Paddy on the Turnpike 他全20曲
オールドタイム・フィドルの魅力をタイトルどおりのソロで見事に弾き切る内田昭弘の手作りCD。バイオリン一本から流れるアパラチアン・グルーヴが実に見事だ。小さなバイオリンに宿るそのアパラチアの魂はそのままブルーグラスに受け継がれていくのだが、オールドタイム・フィドルは、ブルーグラスのアンサンブルや商業価値に対して、あくまで非常に個人的なものでコミュニティの中で連綿と伝えられていくといった種類のもののようだ。それだけに、人のぬくもりがより強く感じられるのだろうか、彼らのジャムは飽くことなく永遠に続く。もとはブルーグラスのバンジョー奏者だった彼がオールドタイム・フィドルにハマった理由は、2009年10月号に「至福のオールドタイム・ジャム」という特集記事でインタビュアーの安川直樹に語られている。
[ギター・インスト]
●OTR-020 V.A.『涙:John Fahey Tribute, Guitar Solo or Something』CD\2,500-(本体\2,380-)

現在大きなジャンルとなっているソロ・アコースティック・ギターのパイオニアで、芸術的なアメリカ ン・ギター・スタイルを確立した第一人者といわれるジョン・フェイヒイ(1939-2001)に、日本のフィンガー ピッキン・ギタリストがトリビュート。浜田隆史、青柳 学、扇柳トール、小川榎也、小川倫生、亀沢ノリボー、ノダ ゴロー、一 卓嗣、masaki μ、渡辺昭彦の10人が、ギターの芸術的存在意義!?をそれぞれに表現する オリジナル作品集。ちなみにジョンはギタリストであると同時にタコマや、晩年にはレベナントといった レーベルを立ち上げ、マイク・オルドリッジやスタンレー・ブラザーズ、ドック・ボッグスなどの歴史的名盤 を発表しているし、また彼のすばらしい著書『How Bluegrass Music Destroyed My Life(以下にブルーグラスがわが人生を破壊したか)』で、ブルーグラ スとの出会いが彼の音楽人生を決定したことが述べら れているなど、ブルーグラスやオールドタイムのシンパだった。ともあれ、10人の日本人アコギストがそれ ぞれにジョンへの思いをぶつけている。
●TROB-9802 V.A.『Acoustic Breath』CD\2,940-(本体\2,800-)

陣風/移ろう日々/うさぎの花嫁行列/ギターケースに航士郎/Watching the TV Rag 他全14曲

ハープギターやティプルも取り入れたデビューCD『風の歌が聞こえる』(TRMY-9701 \2,718-)でユニークなフィンガーピッキン・ギターを聴かせた安田守彦がプロデューサーとなり、様々なギタリストの作品を集め、マスタリング・エンジニアにセイゲン・オノを迎えて創ったアコースティック・フィンガーピッキン・ギター・インスト集。キャッチ・コピーに「一発録りのマイク録音だけを許したからこそ、このアコースティックの息吹が録れた…家族と仕事を持つ者が日々の中から奏で出した、今に生きる者の音楽」とある。ピックアップなしのマイク録音での完全なソロ、しかもほとんどがオープン・チューニングによるオリジナルという。参加ギタリストは安田の他、昌巳μ、末廣純也、佐藤勇次、北島尚彦、梅里 光、天野恵司、川合ケン、與本 勝の9名。様々な人生を背負いながら、アコースティック・ギターに何らかのメッセージを託するミュージシャンの心意気が素晴らしい。
●TROB-0709 V.A.『Sound in the Wind』CD\2,625-(本体\2,500-)

 日本のフィンガーピッキン・ギタリスト(オートハー プ、ウクレレ、ハープギター含む)が会してそれぞれのオリジナル・サウンドを届けるシリーズ『アコース ティック・ブレス』の最新第7作である。安田守彦のプロデュースで、演者は本人のほか、山本泰生、アン トワーヌ・ペイヤン、梅里光、中島裕志(オートハープ)、宮路勲、杉浦浩二、昌己μ、上原真吾、ノダゴロー &ナカジマヒロシ(12弦ギター&オートハープ)、MAWARIの11組14曲。
●TROB-0607"V.A/ノスタルジック・メモリーズ" CD \2,625-(本体\2,500-)

「風の歌が聞こえる」(TRMY-9701)、ハープ・ギター奏者として知られる安田守彦プロデュースに よるアコースティック・ブレスの第6弾。14組のソロ又はデュオによるギター、リゾフォニック・ギ ター、マウンテンダルシマーを駆使、14組のソロ又はデュオによるインスト集。世界的エンジニア、 セイゲン・オノによるマスタリングで懐かしさを覚えるナチュラルな弦の響きを聞かせる。
●TROB-0506 V.A.『In the Sunlight』CD\2,625-(本体\2,500-)

 日本のフィンガーピッキン・ギタリストが会してそ れぞれのアコースティック・サウンドを届けるシリーズ「アコースティック・ブレス」の最新第5作である。 安田守彦のプロデュースで、飯泉昌宏、中神高宏、昌己μ、高山千香夫&工藤美穂(ギター&バイオリン)、湯 浅佑一、川合ケン(ウクレレ)、梅里光、ノダゴロー&ナカジマヒロシ(12弦ギター&オートハープ)、岩橋信 之、安田守彦、箕浦博之、東堤良仁、Sonido del Aire(1st:石井範昭、2nd:石井紀子)の13組14曲。さま ざまなメーカーのギターがさまざまな音を奏でる。28頁の解説付き。
●TROB-0305 V.A『Joyous Reunion』CD\2,625-(本体\2,500-)

 1998年以来発表を続けて第4作目、日本のフィンガーピッキン・ギタリストの今を一望できる秀作シ リーズ、「アコースティック・ブレス」の最新作である。ギターのみならず、中嶋裕志のオートハープ やラリー・コンガーのマウンテン・ダルシマーをフィーチャー、ギターのみにこだわらず、より幅広 い「アコースティック」を念頭に置いた全15作品。プロデューサの安田守彦自身がハープ・ギターやティ プルを得意とするように、収録曲も、各プレイヤーの個性的なオリジナルで構成されている。その他の参 加ギタリストは、池庄、北村昌陽、高山千香夫、小川倫夫、昌己μ、堀内規行、浜田隆史、箕浦博之、 梅里光等々。
[フォーク]
●MAF-02 『ながいよう/ちむじゅらさん』 CD2枚組\2,500-(本体\2,380-)

「70年代に一世を風靡、日本のフォーク・ソングのスタンダート「プカプカ」で知られるディラン・セカンドの元メンバー=ながいよう、三年振りにニュー・アルバム」ながいよう(永井洋)さんの待望の新作が完成した。タイトルの『ちむじゅらさん』は沖縄言葉で“優しい”を意味するのだという。2枚のディスクに収まりよく振り分けられた16曲を聴いていると、部屋中に穏やかな時間が流れ、優しい気持ちにさせられる。つつましい日々の暮らし、愛しい人を想う心のうち、過ぎ去っていった日々、ややこしい世の中へのつぶやき、縁あって向き合うことになった沖縄の現実、等々。歌い手の人柄を伝えるかのように、優しく、切々とつづられていく。曲によっては8分近い“ながい”曲でさえ、繰り返し聴いては、その都度胸を打つ。
ディランII解散、五つの赤い風船75に参加して後、一度はながいさんは音楽の世界からすっかり身を引いてしまう。その彼が再びギターを手に、それまでほとんど手がけることのなかった作詞、作曲に挑み、さらに歌うという活動を始めたのは、かつての仲間であり、尊敬する西岡恭蔵氏の死をへてからのことという。以降、リハビリを繰り返すようにギターの練習に励み、歌を作り、ライブ活動を繰り返すようになる。そして2009年に1stアルバム「ながいよう/3つの赤いふんどし」を出し、約3年ぶりとなるのが今回の新作『ちむじゅらさん』。
ながいさんの歌を支えるバックのツボを押さえた演奏も素晴らしい。もう長く活動を共にしているギターの平光成、フィドルの杉本Q仁美、キーボードの井山あきのり、他、ゲストで参加している演奏者らのサポートも、歌に彩りを添えている。また、関西、というより現在の日本のブルーグラスシーンを牽引するプレイヤーたち(秋元慎/マンドリン)、村片和彦/バンジョー、久永雅史/ギター、ウッドベース)が脇を固めた4曲、とりわけ「6月23日」の端正かつ美しいストリングスは聞き物である。
ながいさんの歌に触れるうち、この声、語り口、非凡な才能が長く気づかれずに来たことを惜しみもするが、今、こうしてアルバムになって届けられたことは心底喜ばしい。これぞ、フォーク・ミュージック、21世紀になって、遅まきながら届けられた関西フォークの名盤と思える。今はなき西岡恭蔵、高田渡氏もこのアルバムを聴いたら、きっと「ながいちゃん、いいアルバム作ったなあ」と、この労作の出来に拍手しただろう。
               片山 明(「小さな町の小さなライブハウスから」著者)
●BJR-02 SWAMPY TAKESHI『Roots & Immigrant Soul』CD \2,000-(本体\1,905-)

prologue/女神/根無し人/Stand Bar To Heaven/さだめ/鼓動/Bayou Jungle/Acadian Driftwood/ホーボーの唄/心のパラダイス/epilogue

 スワンピー・タケシ(Swampy Takesh/以下スワンピーさんと表記)さんの新作「ROOTS & IMMINGRANT SOUL」が楽しい。
 冒頭、高らかに管楽器が響き渡るディキシーランドジャズ風のイントロに導かれて、音旅は始まる。ルイジアナからテキサス、メキシコ国境、南米、ン? これは中近東? スコッツ/アイリッシュ? と、こちらの想像力をかきたてるように曲がすすんでいく。ピリッと来るようなスピリッツでも用意し、酔いにまかせて聴きすすんでいくと、歌詞の中にもあるが、まさに桃源郷へ誘ってくれそうな心地よさ。そしてアルバムは夢見心地のまま、気がつけば元の出発点に一巡しているという心憎い流れとなっている。
 CDにつけられた宣伝用の帯には「スワンピータケシが綴るルーツ音楽と移民達の魂」とある。そのタイトル通り、音楽のベースになっているのはいわゆる「ボーダー・ミュージック」。一例として、収録曲の中に「Bayou jungle Acadian driftwood」という1曲があるが、これはカナダからミシシッピー河を下り、ルイジアナのバイユー地域に流れ着いたフランス系移民のこと。アルバムはそのように、本人がこれまで実際に足を運んで目にした“移民達の子孫が暮らす”地からインスピレーションを得て書かれた曲で構成されている。それをリスナーに届きやすいよう日本語で表現しているのだが、演奏と歌の微妙なバランス感覚が面白い。そう、時に関西人らしい節回しなども見え隠れするも、それがこの音楽をいっそう親しみやすいものにしている。
 スワンピーさんは1964年、京都生まれで、大学在学中から音楽活動をはじめ、主に関西を中心にオリジナルをメインとしたライブ活動を続けているシンガー。普段は公私にわたるパートナーである杉本Q仁美とのコンビ「タケQ」でのライブ活動もよく知られるところ。90年以降、ニュージーランドを皮切りにアジア、南米、北米、アイルランド、スペイン、モロッコ、キューバ等を旅して回り、この間にはルイジアナ州のFM局に生ライブ出演、またアルバムがヘビーローテーションでオンエアされ、地元紙1面にも取り上げられるなどの快挙をなしとげている。とりわけ、複数回にわたって訪れているアメリカ南部の音楽への思い入れは深く、ソロとは別に今回のアルバムでも濃厚に香るザディコ/ケイジャンのバンドを組み、ライブも行っている。2000年に1stをリリースし、2004年には2ndを、それから8年ぶりとなる新作は前作からコンセプトを引き継ぐ形で、よりいっそう辺境のルーツミュージックに踏み込んだ内容になっている。
彼をバックアップする演奏陣は関西の音楽シーンをリードする面々がこぞって参加しているといった風。全てを紹介しきれないが、R&Bやアメリカンルーツ、河内音頭でも活躍するレゾネーター、ギターの森俊樹をはじめ、海外アーティストのサポートもつとめるなど、今や日本を代表するブギウギピアノ弾きの井山あきのり、先述のブルースハープの杉本Q仁美、テックスメックス/コンフント界からアコーディオンのHonorio、Bajo Quinto(10弦ギター)のSpock、そしてブルーグラス界からもマンドリンの秋元慎が参加と、総勢16名のいずれ劣らぬ凄腕揃い。スワンピーさん本人も基本はアコースティックギターとボーカルだが、実は彼はザディコ/ケイジャンでよく使われるラブボード(Rubboard)の第一人者の一人で、本作でもその腕前をさりげなく披露してくれている。
基本はいわゆるシンガーソングライターのアルバムなのだが、歌に彩りを添える演奏とのコンビネーションが前例がないくらい刺激的だ。かつては久保田真琴、オレンジカウンティブラザーズといった似た指向性の音楽家はいたが、ここまで外来のルーツミュージックと日本語の折り合いをつけた作品はあっただろうか。これも、ある意味でクレオール的とも言える関西/大阪という土壌だからこそ生み出された音楽なのかもしれない。
----片山 明「小さな町の小さなライブハウスから」著者
●PSR-0901/2 坂庭省悟『メモリアルアルバム 心の旅2』CD2枚組\4,000-(本体\3,810-)

 「ミュージシャン・坂庭省悟の記録をもう少し、カタチとして残してみたいと思い、このアルバムをつくることにしました。前作『坂庭省悟メモリアルアルバム 心の旅』を出版してから二年の歳月が過ぎようとしています。当初第二弾を、という考えはなかったのですが、たくさんの方からのご要望もあり、『心の旅2』をリリースいたします。今回のアルバムは、坂庭省悟が大好きだった、たいせつな仲間と、「聖なる一回性」ともいえる価値ある時を共有した彼の姿を想い出しながら編集しました。ソロ活動を始めて以降の、宮崎勝之さん・有山じゅんじさん・松田"ari"幸一さん・茶木みやこさん、青木まり子さんと組んだMMS・PETAさん・そして盟友・城田じゅんじさん、Shogo BRAND.でのライブ音源に加え、古くは、1970年フェスティバルホールでのマヨネーズの音源なども収録」と。
●FCW-00001 冷泉公裕『Bom Dia!! 諸国漫遊』CD\3,000-(本体\2,857-)

テネシー・ワルツ/僕の手/時ふれば/オン・ザ・ロード・アゲイン/島の唄/マリーマリー 他全15曲

 ラストショーや数々のセッションで知られる河合徹 三(bs,m)やブルーグラスの奥沢明雄(g)、丸尾めぐみ(piano,etc)らのアコースティック・サウンドが俳優、 冷泉公裕(れいぜい・きみひろ)のオリジナルやカントリー/シャンソン/フォルクローレ/ファドなどの カバーをシンプルかつ詩情豊かに表現、タイトルとおり世界のさまざまな風物に触れるような作品に仕上げ ている。歌手としての手練手管ではなく、さすが役者さん、2曲の語りはもちろん、歌詞(言葉)を上手く 味付け表現、日本語の訳詩を自然に歌い込んでいる。
●RPJB-2010『ラグパパス・ジャグバンド』CD\1,575-(本体\1,500-)

神戸を本拠地に活動するジム・クェスキンをお手本に日本語のオリジナル中心のストリング・バンド系ジャグバンドのデビュー作。関西フォークの黎明期に活躍したフォーク・キャンパースの勝木徹芳(g,bj,v)、春待ちファミリー・バンドのさわむらしげはる(washboard etc)、ブルーグラス45のジョッシュ大塚(bj,f,g)、日本のタブベースの第一人者=神田修作(g,bs)、秋元慎(m,f,v)。
●CH-002 井上ともやす『平和の詩が聞こえる』CD\2,500-(本体\2,380-)

ヤポネシアン・ブルース/団地っ子のバラッド/てーげーeasy/Goodbye Teen's/サンキューソング/広島に雪が降る/Spirit To Shout!/縁ですね 他全12曲

 銀座のブルーグラス・ライブハウス、ロッキートップのチーフとして、チーフ井上とフォークゲリラ・ボーイズ『100万回愛してる!』(CH-001 \2,500-)というブルーグラス作品もある井上ともやすが本業!?のフォークシンガー/ソングライターとして初のオリジナルによるソロアルバムである。川又トオルのエレキと編曲がバッチリと決まるポップなカントリーロックっぽいバックで「叫ぶ」。箱根コンベンションで鍛えられた!?見事な"Take It Easy"の沖縄風替え歌「てーげーeasy」のほかは、その確かな社会観から生まれる強いメッセージを持つすばらしい歌詞とメロディ。同時にボサノバやレゲェ、石野真子に提供した「サンキューソング」ではバンジョーが活躍など、エンターテイメント性も高い秀作だ。
●BALZ-2008 バラーズ『想い溢れて』CD\2,100-(本体\2,000-)

都会人よ/見えないあした/想いを染めて/巡る季節に寄り添って/一つの真実/生きてるって 他全10曲

 1968年に結成され、2ヶ月後には高石ともやのコン サートでステージデビュー、その後、折からのブームの中で活躍、70年に中津川フォークジャンボリーなど を経て、同年解散した女性フォーク・トリオ、バラーズの最新第3弾CDアルバム。1990年、岡本寿子、平 岩美佐子、福中いづみのオリジナル・メンバーで復活、本作ではムーンシャイナー誌のフォーク・コラム"One Nite Stand"を連載していた岩崎昌樹(m,g,autoharp)、稲本義信(bs,12string-g)、稲本弘 美(keybord)、ナターシャセブンやSAMで活躍した進藤了彦(dobro,bj)、福井秀彦(bluesharp)らをバック に、デビューから40年、女性ならではの感性、優しいハーモニーとアコースティック・サウンドで10曲のオ リジナルを聴かせる。
● BALZ-2001 バラーズ『風の吹くまま』CD \2,100(本体\2,000-)

春になれば/愁訴/野の花/大空へ/私達は風に似て/Party Is Over/根無し草/春の日に 他全15曲

1970年代にURCレコードからデビューした女性トリオ・フォーク・グループのバラーズ、1990年代 に入ってから再結成して10年、2枚目の最新作である。女性らしい感性と、60年代から70年代にかけ ての京都フォークの感覚がマッチし、丁寧に作られた作品になっている。岡本寿子(g)、平岩美佐子、福中 いづみ(g)のトリオに、ムーンシャイナー誌コラム「One Night Stand」でお馴染みの岩崎昌樹のマンドリンと、浜口敏彦のドブロ、丸井康弘(bs)ら、女性 の確かなメッセージが、彼女ら自身曰く「詩にメロディーをつけ、ギターを弾きながら歌う事を青春時代 に見つけた。こんな“あそび”を50歳過ぎても楽しんでいるなんて、何て素敵な事なんだろう…」と いう気持ちで、ストレートに表現されている。ホンマ、ブルーグラスにはウジャウジャといるけど、そ んな音楽人生、素敵だと思う。な、岩崎クン!?
[ジャズ]
●R-1190050 トリ・ユニット『Monroe』CD\2,500-(本体\2,380-)

1984年頃、ブルーグラスとしてはじまった「トリ・ユニット」は、中学からの同級生であるマンドリニスト吉津正司とギタリスト川瀬眞司に、ベーシスト中村尚美が2007年に参加、ジャズ・トリオとして活動している。タイトルはビル・モンローの訃報に接して吉津が書いたオリジナル(フィドルに足立安隆)だが、そのほかはジャズ・スタンダード、I can't Give You Anything/Broadway/Misty/Swing 39/Take the 'A' Trainなどを中心にしたスウィング感溢れるジャズ作品全11曲("Little Rock Getaway"には吉崎ひろしのバンジョー)。ムーンシャイナー誌10/11月号の連載特集とともに、お勧め作品である!

●MAN-CM-02 カフェ・マヌーシュ『DeCarajue』CD\2,500-(本体\2,380-)

Picnic Swing(キコキコに行こ行こ)/Deed I Do/Tu Djaial/I Got Rhythm/Smile/Minor Swing 他全11曲

 ジャンゴ・ラインハルト系のジプシー・スウィングを 得意とするアコースティック・ギタリスト、川瀬眞司と山本佳史の2台のマカフェリ・ギターに、関西のジャズ シーンを中心に精力的に活動する女性ベーシスト中村尚美を加えたアコースティック・トリオの第2作。今回 はオリジナル4曲に、ジャンゴの名曲、ガーシュインやチャーリー・チャップリンなど、バラエティーに富んだ 気持ちいいスウィングを中心に、ラテン系、ボサ系など、またスワンをゲストに女性ボーカル曲も仕組んで 聴きやすいアコースティック・スウィング・アルバムに仕上げている。ちなみに、川瀬は元ブルーグラス・バン ジョー奏者で、現在もときおりブルーグラス・フェスに出没…、このスウィングするドライブ感とアグレッシ ヴさはバンジョー弾きだったことによるのかも……!?
●HCP-00777 東京ホット倶楽部 バンド "A Deep Breath" CD\2,854-(本体\2,718-)

I Can't Give You Anything But Love/Mona Lisa/Moonlight Serenade他全12曲

 ジャンゴ・ラインハルトとステファン・グラッペリのストリング・ジャズ・バンド=フランス・ホット・クラブ楽団を模した東京ホット倶楽部バンド。世界中にあると言うこの種のストリング・ジャズではトップ・クラスという彼等がノルウェー・ホット・クラブ・バンドとの共演も含めて演じるホットなフィドル&ギター・ジャズ集。スタンダード・ジャズ曲を挟んでのオリジナルも楽しめる。大矢貞男(f)と福島久雄(g)の二人がブルーグラスの出身だ。
●COCP-30984 大矢貞男『Cine Image』CD\2,415(本体\2,300)-

東京ホット倶楽部のバイオリン奏者、大矢がヒーリング音楽ブームの頃にソロで発表した作品
●SGSM-001 SWING SAM『Gypsy Swing, guest "Maedolin"』CD\2,000-(本体\1,905-)

Minor Swing/Danny Boy/Sweet Georgia Brown/Them Their Eyes/Anniversary Song/Medley 他全10曲(ギタータブ譜付き)

70年代に東北大でブルーグラスしていた鈴木知彦(g)、立命大の名門サニー・マウンテン・ボーイズ出身の松浦康隆(bs)、そしてカーリー・レイ・クラインにフィドルの極意を伝授されたという高知ブルーグラス・バンドの秋山議範(f)に、広島・福山で活躍する「マエドリン」こと前田宏樹(m)、全員がブルーグラス出身者によるジプシー・スウィング。感情型フィドルにシュアなギターのフラットピッキン、そしてお手のもののドーグ系マンドリン、そして何より全員がドライブを知っていることが全体のビートに弾みをつけてバンドを前に進める。なまじ小奇麗に収めようとせず、おそらく一発録音にかけた意気込みがいい。
☆☆ビー・オー・エム・サービス(御注文は:TEL 0797-87-0561:FAX 0797-86-5184:E-MAIL order@bomserv.comにて承ります。☆☆
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