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NEW ARRIVALS 0507  2005/08/01
BLUEGRASS NEW RECORDINGS
BLUEGRASS REISSUES AND DISCOVERIES
FOLK & OLDTIME NEW RECORDINGS
FOLK & OLDTIME REISSUES AND DISCOVERIES
COUNTRY REISSUES AND DISCOVERIES

[BLUEGRASS NEW RECORDINGS]
●NICKEL CREEK『Why Should the Fire Die?』SH-3990 CD \2,573
When in Rome/Somebody More Like You/Jealous of the Moon/Scotch & Chocolate/Can't Complain/Tomorrow Is a Long Time/Eveline/Stumptown/Anthony/Best of Luck/Doubting Thomas/First and Last Waltz/Helena/Why Should the Fire Die? 全14曲
 いやはや、恐れ入りましたというしかないニッケル・クリークの最新作。ストレングス・イン・ナンバーズを出発点に云々という表現も、もはや意味をなさないくらいの、遥かな次元に飛んでいった新世紀アコースティック・フォーク・ロックとでもいうべきか。クリス・シーリー、ショーン・ワトキンズ、サラ・ワトキンズ、3人のいやがうえにも研ぎ澄まされた精緻かつ静謐なアンサンブル(マーク・シャッツのベースがしっかりと支えている)とコーラス、この10年くらいのロック・シーンの動向をきっちりと取り込んで自分たちのアコースティック・サウンドに昇華した、見事というしかないソング・ライティング、そしてそれらを1本のマイクでライヴ録りしたというミュージシャンとしてのセンス、すべてに驚かされる。シカゴのガレージ・ロック・バンド、ドゥワーヴスのメンバー、エリック・ヴァレンタインと、ブルース・ホーンズビーやエディ・ブリッケルなどフォーク/ロック畑のプロデューサー、トニー・バーグという、これまでとは全く世界の異なるふたりとのコラボレーションが生み出した、新次元のニッケル・クリーク・ミュージック。3曲のインストに聴かれるブルーグラス・バンドとしてのアッピールも鋭いものがある。サラの可憐なヴォーカルが印象的なボブ・ディラン・ソング"Tomorrow Is a Long Time"以外、すべて3人のオリジナル。
●CHRIS HILLMAN『The Other Side』SOV-1959 CD \2,888
Eight Miles High/True Love/Drifting/The Other Side/Heaven Is My Home/Touch Me/The Wheel/True He's Gone/Heavenly Grace/It Doesn't Matter/Missing You/the Water Is Wide/I Know I Need You/Our Savior's Hand 全14曲
 ハーブ・ペダーセンとのコンビや、ライス・ライス・ヒルマン・ペダーセンでのアルバム・リリースはあったが、ソロ名義では98年の『Like a Hurricane』(SH-3878\2,553)以来、実に7年ぶりとなるクリス・ヒルマンの最新作。ソロ名義とはいえ、バックにはハーブ・ペダーセン(g,bj,vo)、ラリー・パーク(リード・ギター)、ゲイブ・ウィッチャ―(f)、ビル・ブライソン(bs)というお馴染みの面々に、サリー・ヴァン・ミーターのドブロとスキップ・エドワーズのアコーディオンという最強のサポート。軽快なカリフォルニア・ブルーグラスと、いつもながら、ハーブ・ペダ―センとの爽やかなウェスト・コースト・ハーモニーが心に残るアコースティック・カントリー・サウンドにのせた、ゴスペル中心に、バーズやデザート・ローズ・バンド時代の当たりナンバーのリメイクも手がけた、落ち着いた雰囲気が優しいヴォーカル・アルバム。
●KENNY & AMANDA SMITH BAND『Always Never Enough』REB-1811 CD \2,573
Always Never Enough/Dig a Little Deep/A Thousand Mile Ago/Pacific Time/Going Across the Sea/Gulf Stream Dreaming/Just Any Day Now/When Her Smile Is Gone/Danbury Jail/Going by Again/Young Heart/Why You Do What You Do/She's on My Mind/Our Last Goodbye 全14曲
2003年度IBMA最優秀新進アーティスト受賞を機に発表したナショナル・デビュー作『House Down the Block』(REB-1798\2,573)に続く、ケニー&アマンダ・スミス・バンドの新作。スティーヴ・ヒューバー(bj)に加えて、ジェイソン・ロバートソン(m)、アラン・バートラム(bs)とメンバーを入れ替えて臨んだ今回のアルバム、ティム・スタッフォード&スティーヴ・ガリーのタイトル・トラックなど2曲に、ペニー・ジョーンズ、トーマス・ブロムそしてベッキー・ビューラーと気鋭のソングライター作品を配して、前作以上に気合の入った、見事なプロダクションが全編に漲る秀作に仕上がっている。もはや現代の最高峰といっても過言ではないケニーの、独得のビートとうねるようなグルーヴに圧倒されるフラット・ピッキン・ギターと、小柄な身体をめいっぱい躍動させてエモーショナルに唄うアマンダのヴォーカルを2枚看板に、スティーヴの見事にコントロールされたバンジョーと新加入ジェイソンの切れ味鋭いマンドリンが一体となって、勢いを生々しく感じさせる、エネルギッシュでパワフル、そして一歩先を行く現代版ソリッド・ブルーグラスを堪能させてくれる。
●LARRY RICE『Clouds Over Carolina』REB-1801 CD \2,573
If You Only Knew/Never Meant to Be/Sunday Silence/Freight Train/We Live in Two Different Worlds/Don't Be Careful What You Wish for/Down Where the Still Waters Flow/Burnt Rice/Clouds Over Carolina/Rainy Day People/You're Not a Drop in the Bucket/Little Maggie 全12曲
 ガンとの闘病が伝えられているラリー・ライス、ソロ・アルバムとしては96年の『Notions and Novelties』(REB-1734\2,573)以来9年ぶりとなる新作。弟トニーとの共同プロデュース、トニ―とワイアット(g)、叔父フランク・ポインデクスター(d)に加えて、サミー・シーラー(bJ)、リッキー・シンプキンス(f)にロニー・シンプキンス(bs)、さらにはロンサム・リヴァ―・バンドのジェフ・パーカーをハーモニー・ヴォーカルにと、気心の知れた仲間たちを集めてのリラックスしたスタジオの様子がそのまま伝わってくるようなアルバム。ラリーの、肩の力の抜けた優しいヴォーカル、トニーとワイアットが相半ばして聴かせるリード・ギターに、サミー・シーラーのソリッド・バンジョーを軸としたサウンド、すべてが、あのケンタッキー・マウンテン・ボーイズを思い起こさせる、郷愁を誘う作品に仕上がっている。ゴードン・ライトフット作品やフォーク・スタンダードをもってくるあたりは、いかにもライス兄弟といったところ、ラリーのオリジナル4曲を中心に珍しいトニー作のヴォーカル曲、カントリー・ジェントルメンの隠れた名曲に、ブルーグラス&カントリー・クラシック、ラストにトラッド曲という構成。
●JEANIE STANLEY『Baby Girl:A Tribute to Carter Stanley』CMH-8969 CD \2,888
Baby Girl/Who Will Sing for Me/The Fields Have Turned Brown/The Memory of Your Smile/She's More to Be Pitied/How Mountain Girls Can Love/Harbor of Love/White Dove/Train 45/The Angels Are Singing in Heaven Tonight/Two Side to a Story/Jesus Is Precious/The Lonesome River/Dream of a Miner's Child 全14曲
 カーター・スタンレーの娘ジーニーが、叔父ラルフ以下、クリンチ・マウンテン・ボーイズのサポートで完成させた父へのトリビュート・アルバム。66年にカーターが41歳の若さで亡くなったとき僅か3歳だったというジーニー、遺された4人の子供たちのなかでただひとり、カーターの音楽のDNAを受け継いだ彼女を主役に据えた真摯なトリビュート。決してとびぬけて上手いというヴォーカルではないが、カーターのソウルを自らのものとした丁寧な唄いっぷりは好感が持てる。ラルフIIが唄う、ジーニーの姉のために書かれたという"Baby Girl"に始まるトリビュート、スティ―ヴ・スパークマンのバンジョーはもちろんのこと、ジェイムズ・アラン・シェルトンのギターがスタンレー・ブラザーズのトーンを鮮やかに演出して秀逸、ラルフとは深い親交のある、トラッド・ブルーグラスの権化ジョー・アイザックスのプロデュースも見事だ。カーターが遺した詩にジョーが曲をつけた"Two Side to a Story"、ラルフが無伴奏で唄うゴスペル"Jesus Is Precious"の2曲は、今回はじめてレコーディングされたカーターの遺作、また、"Dream of a Miner's Child"はカーターが元気だった61年、シカゴ・フォーク・フェスティヴァルでのライヴ・テイクにジーニーのハーモニー・パートをオーヴァー・ダブしたという、よくある仕掛けを施したもの。選曲、パフォーマンスともに充実した、スタンレー・トラディション継承の1枚。
●DAVID PARMLEY & CONTINENTAL DIVIDE『Long Time Coming』CMH-8861 CD \2,888
More Than I Can Bear/Third Shift at the Mill/Lost Love/Get RIght or Get Left/Done Gone/Where Rainbows Touch Down/Next Train Leavin' Town/Lee Berry Rye/I'll Be a Friend to Jesus/Where the Sweetwater Flows/I've Had a Time/Katy Hill 全12曲
 デヴィッド・パームリーとコンティネンタル・ディヴァイドの最新作。元クイックシルヴァーのデイル・ペリー(bj)が加入、さらに、ブルーグラス・カーディナルスでのパートナーだったコーラス名人ランディ・グレアム(m)に、スティ―ヴ・デイ(f)とバリー・ベリアー(bs)という、地味ながらも実力はトップ・クラスの顔ぶれとなった新生コンティネンタル・ディヴァイド。デイル・ペリーのキック・オフからデヴィッドのソロ、そして抜群のコーラスへと進行するロバート・ゲイトリー作の1曲目から、気分はすっかりフォギー・マウンテン・ボーイズ、その上手さには定評あるデヴィッドの、レスター・フラットを相当に意識した節回しが、クラシック・ブルーグラスの雰囲気をめいっぱい湛えた、いい味を演出している。父親譲りのトラッド・ブルーグラスの真髄を見事に表現したロバート・ゲイトリーの秀逸なオリジナル3曲を柱に、ランドール・ヒルトン(2曲)にデヴィッドのオリジナル、なつかしいカーディナルスでの作品のリメイク2曲など、あくまでオーソドックスなブルーグラスに徹しきった構成が素晴らしい。
●FRANK POUNDEXTER & THE RICE BROTHERS『It's the Music』DEX-001 CD \2,888
It's the Music/Old Spinning Wheel/Hound Dog Rock/I've Got a Woman/Morning Glory/Crazy Creek/Just Before Dawn/Just as I Am/Kitchen Pickin'/Washington & Lee Swing/Last Thing on My Mind/Sweet By & By/Blue Slide Blues 全13曲
ライス兄弟の叔父さん、フランク・ポインデクスター(d)が、ラリー(m)、トニー(g)、ワイアット(g)、ロン(bs)のライス4兄弟と、サミー・シーラー(bj)、リッキー・シンプキンス(m)、グレッグ・ラック(f)、マーク・ジョンソン(bj)というヴァージニア人脈をバックにしたインスト集。トラディショナル曲とフランクのオリジナルを半々に、トミー・ジャクソンのフィドル・チューン、トム・パクストンのフォーク・ヒットも加えて、フランクの伸びのあるオーソドックスなドブロを軸に、トニー(track 13他)とワイアット(track 6他)のリード・ギターをはじめ、各人がそれぞれにゆったりとした雰囲気で、嫌味のない、すっきりとした印象のアルバムに仕上げている。
●RYAN HOLLADAY『New Kid in Town』SKFR-2012 CD \2,363
Boston Boy/When It Rains/My Caroline in Carolina/Shadow Ridge/Kaymoor Mine/There Is a God/The Road to Donnelaith/Midnight Radio/Blackjack/Hurry Sundown/99 Years(And One Dark Day)/New Kid in Town 全12曲
 10歳を前にして既に2枚のアルバムを発表、天才少年の名をほしいままにしたという話題のキッズ・ピッカー、ライアン・ホラデイのスキャッグス・ファミリー・レコードからのナショナル・デビュー。現在12歳、奇しくもかのクリス・シーリー以下のユース・オールスターズの面々と同じ年齢でのデビューだ。バンジョー、マンドリン、ギターを自在に弾きこなしてすべてのブレイクをパワフルに演じ切るのみならず、12歳という年齢ゆえの幼さは随所にみられるもののヴォーカルも聴かせるという、堂々たるパフォーマンスにはただただ恐れ入ってしまう。J.D.クロウやトラッド曲でのストレートなサウンドから、クリス・シーリーのツイストの効いたナンバーまで、ヴォーカル曲ではオーソドックスなブルーグラス・ソングからスティーヴ・ウォリナーのカントリー・ナンバー、サザン・ロックを昇華した曲にタイトル・トラックのイーグルスまでと、多彩なソースからの選曲をしっかりとアレンジして聴かせている。父マーク(g)、叔父マイク(bs)などがサポート、ジェイソン・カーター(f)がゲスト参加している。バンジョーはカール・ジャクソン、マンドリンはクリス・シーリーがヒーローだというライアン・ホラデイ、恐るべき12歳だ。
[BLUEGRASS REISSUES AND DISCOVERIES]
●EARL SCRUGGS『I Saw The Light With Some Help From My Friends』COL-92793 CD \2,079
Lonesome and a Long Way from Home/Silver Wings/It's a Picture from Life's Other Side/Motherless Child Blues/Some of Shelley's Blues/Never Ending Song of Love/Rock Salt and Nails/The Banks of the Ohio/Ring of Fire/Propinquity/Fireball Mail/Tramp on the Street/The Cure/I Saw the Light 全14曲
 バンジョー・レジェンド、アール・スクラッグスの功績を称えて、カントリー・ミュージック・ホール・オヴ・フェイムで開催されているロングラン・イヴェント『Banjo Man』に連動してコロムビアから発売されたお宝音源。レスター・フラットと袂をわかったスクラッグスが、2枚のアルバムを経て71年に息子たちと結成したアール・スクラッグス・レヴュー、その最初のアルバムとして72年に発表された作品。F&S後期の路線をさらに押し進め、フォーク・ロック、カントリー・ロックのサウンドに自らのバンジョーを融合させていこうとする試みを結実させたもの。当時はピュアリストからずいぶんと非難されたものだったが、その後のブルーグラスの広がりを考えるとき、最初の一歩を記した記念碑的アルバムのひとつとして評価されるべき作品である。ウェスト・コーストからリンダ・ロンシュタットとニッティ・グリッティ・ダート・バンド(あの『Will the Circle』を生み出すきっかけとなっているのだ!)、フォーク畑からアーロ・ガスリーとトレーシー・ネルソンが"Friends"として参加。"Fireball Mail"など未発表3曲がボーナス・トラックとして収録されている。
●LESTER FLATT & EARL SCRUGGS『Foggy Mountain Jamboree』COL-92801 CD \2,079
Flint Hill Special/Some Old Day/Earl's Breakdown/Jimmie Brown, the Newsboy/Foggy Mountain Special/It Won't Be Long/Shuckin' the Corn/Blue Ridge Cabin Home/Randy Lynn Rag/Your Love Is Like a Flower/Foggy Mountain Chimes/On My Mind/Dear Old Dixie/Pray for the Boys/Reunion in Heaven 全15曲
 フラット&スクラッグスの大名盤、多くのシングル盤からセレクトして、彼らの初めてのLPとして57年に発売された作品の、本家コロムビアからの発売。ブルーグラス60年の歴史で、「これがブルーグラスだ」のアルバムを1枚だけ選ぶとしたら、間違いなく最有力候補となるであろう究極のブルーグラス・アルバム。レスターの絶妙の節回しとカーリー・セクラーとの例えようのないデュエット、バンジョーという楽器のすべてを知り尽くしたアールの表現力、ドブロというノヴェルティ・インストゥルメントを完璧なアンサンブルに昇華したフォギー・マウンテン・ボーイズの見事な呼吸。日本ブルーグラスの黎明期、ここに収められた名曲の数々が多くのプレイヤー、リスナーを育てた、そんな思い出も貴重な、文字通りの『名盤』である。本家からの発売に際して、同時期に録音された"On My Mind""Dear Old Dixie""Pray for the Boys"の3曲がボーナス・トラックとして収録されている。
●LESTER FLATT & EARL SCRUGGS『Foggy Mountain Gospel:The Complete Columbia Gospel Recordings』COL-92574 2CD \3,150
I'm Working on a Road/He Took Your Place/Get in Line Brother/Brother, I'm Getting Ready to Go/Reunion in Heaven/Mother Prays Loud in Her Sleep/Be Ready for Tomorrow May Never Come/You Can Feel It in Your Soul/Old Fashioned Preacher/It Won't Be Long/No Mother in This World/Gone Home/Bubbling in My Soul/Joy Bells/Who Will Sing for Me/Give Mother My Crown/Give Me the Flowers While I'm Living/Is There Room for Me/A Million Years in Glory/Heaven/Building on Sand/Jesus Savior Pilot Me/He Will Set Your Fields on Fire/Let the Church Roll on/Paul and Silas/No Hiding Place Down Here/I'm on My Way to Canaan's Land/Angel Band/When the Angels Carry Me Home/I'll Never Be Lonesome Again/Get on the Road to Glory/Take Me in Your Lifeboat/Bubbling in My Soul/Heaven/Joy Bells/Give Me the Flowers While I'm Living/You Can Feel It in Your Soul/Give Mother My Crown/On the Rock Where Moses Stood/Where Will I Shelter My Sheep/I Saw Mother With God Last Night/Go Home/Father's Table Grace/I'm Walking With Him/God Gave Noah the Rainbow Sign/When the Saints Go Marching in/Troublesome Waters/No Mother in This World/A Stone the Builders Refused/Call Me on Home, Too/Wait for the Sunshine/Thank God I'm on My Way 全52曲
 フラット&スクラッグスが51年から66年の間、コロムビアに残したゴスペル録音全52曲(カーネギー・ホール、ヴァンダービルト大学でのライヴ音源も含む)をコンプリートに収録した2枚組。レスターのまろやかなクルーナー・スタイルのヴォーカルを核にした完璧のブルーグラス・サウンド、アールの美しいギターとフォギー・マウンテン・カルテットのコーラスが鮮やかに決まった曲や、後期の、ジェイク・タロックのハイ・バリトンを加えたクインテット・コーラスなど、ブルーグラス・ゴスペルのベーシックなかたちを完成させた、フラット&スクラッグスの至高のパフォーマンスが満喫できる。四重唱で唄った曲を、アルバム用に五重唱で再録音したものと聴き比べてみるのもおもしろい。
[FOLK & OLDTIME NEW RECORDINGS]
●UNCLE EARL『She Waits for Night』ROU-0565 CD \2,573
Walkin' in My Sleep/There Is a Time/Sugar Babe/Warfare/Pale Moon/Booth Shot Lincoln/Willie Taylor/Sullivan's Hollow/How Long/Bunch of Keys/Sleepy Desert/Divine/Ida Red/Take These Chains 全14曲
 いまいちばんホットなオールドタイム・ミュージック、その最先端を行く女性ストリング・バンド、アンクル・アールの新作。コロラドのブルーグラス/オールドタイム・シーンで活躍するK.C.グローヴスがジョー・セラピアと組んだ女性オールドタイム・デュオとして発表した『She Went Upstairs』(DRC-010\2,888)で、かのヘイゼル&アリスにも例えられてきたアンクル・アール、その後、K.C.を軸に若い女性5人編成のオールドタイム・ストリング・バンドへと変身した、新生アンクル・アールの本格的デビュー・アルバム。素晴らしいフィドルを聴かせるレイナ・ゲラート、クロウハンマー・バンジョーをかき鳴らしながらオールドタイム・ソングを中国語!!で唄うというアビー・ウォッシュバーンなど、才能豊かなメンバーによる変化に富んだパフォーマンスが、新しいオールドタイム・ミュージックの世界を切り開いている。ダーク・パウエルがプロデュースしたこのアルバムでは、ピーター・ローワン&トニー・ライスのツアーに参加しているシャロン・ギルクリストが抜けた4人編成となっている。軸足はしっかりとストリング・バンド・スタイルにおきながら、ヘイゼル&アリス以下、先人に学んだオールドタイム・ソングにさまざまなコンテンポラリーなファクターを盛りこんだ、新しいオールドタイムのモデル。
●THE STAIRWELL SISTERS『Feet All Over the Floor』YODEL-061 CD \2,888
Cindy in the Meadows/Come Along Jody/Lost Love/Big Black Cat/Red Gal/Wild Horse/Riley the Furniture Man/Drunkard's Lone Child/Paris Waltz/Jump Back/Wish I Was/Sleeping Lulu/The Longest Night/Weary World/Stranger Stop & Cast an Eye/Could It Be Him/My Dying Bed/Greasy Coat/Where the Flowers Bloom Forever 全19曲
 2000年、サンフランシスコでリサ・バーマンとスー・サンドリンのデュオとしてスタート、その後メンバーを加えて5人組の女性オールドタイム・ストリング・バンドとなったステアウェル・シスターズ、2003年のデビュー作に続くセカンド・アルバム。ブルーグラスからカントリー風まで、幅広いスタイルをしっかりとものにしたリサとスーのヒルビリー・テイストいっぱいのデュエットを柱に、ステファニー・プロウズニッツのフィドル、エヴィー・レイディンのバンジョー、リサのドブロが織り成すオールドタイム・グル―ヴが、オールドタイム・ヘラルド誌などでも高く評価されている。ベイ・エリアに根付いたトラディショナル・ミュージックの伝統を継承する、期待の女性たちである。
[FOLK & OLDTIME REISSUES AND DISCOVERIES]
●BENNY THOMASSON『Legendary Texas Fiddler』CO-2737 CD \2,573
Dry and Dusty(Bush in the Shucks)/Jack of Diamonds/Bumblebee in the Gourdvine/Bonaparte's Retreat/Don't Let Your Deal Go Down/Hell Among the Yearlings/Tom and Jerry/Midnight on the Water/Dusty Miller/Billy in the Lowground/Laughing Boy/Cattlle in the Canebreak/Forked Deer/Drunkard's Hiccups/Tug Boat/Black and White Rag/Lost Indian/Bitter Creek/Blackberry Blossom/Limerock 全20曲
 各地で開催されるフィドル・コンテストのチャンピオンとして君臨し、テキサス・スタイルのフィドル奏法を完成に導いたフィドラー、ベニー・トマソンが、1970年に発表したアルバム『Country Fiddling from the Big State』(County 724)に、未発表6曲を加えてのCD化。マーク・オコーナーの師匠であり、サム・ブッシュやバイロン・バーラインなど多くのフィドラ―に絶大な影響を及ぼして、現代のブルーグラス・フィドルやスウィング・フィドルの規範を形作った偉大な人物、その彼が生涯でたった1枚だけ発表したという貴重きわまりないレコーディング、66年から69年の間に録音された18曲、そしてラストの2曲は、65年、テキサス州ギルマーでのフィドル・コンテストで優勝したそのときのパフォーマンス。
[COUNTRY REISSUES AND DISCOVERIES]
●EMMYLOU HARRIS『Heartaches & Highways:The Very Best of Emmylou Harris』WB-73123 CD \2,573
Love Hurts(with Gram Parsons)/Boulder to Birmingham/Making Believe/Pancho & Lefty/One of These Days/(Lost His Love)On Our Last Date/Born to Run/Beneath Still Waters/If I Could Only Win Your Love/Together Again/That Lovin' You Feelin' Again(with Roy Orbison)/To Know Him Is to Love Him(with Dolly Parton/Linda Ronstadt)/Two More Bottles of Wine/Wayfaring Stranger/Calling My Children Home/Green Pastures/Orphan Girl/Michaelangelo/Here I Am/The Connection 全20曲
 フライング・ブリトウ・ブラザーズに見出され、グラム・パーソンズのパートナーとしてデビュー以来30数年、常にカントリー・ミュージックの最先端にあって革新的な音楽を創りつづけ、近年は"Godmother of Alternative Country"なる尊称も得ているエミルー・ハリス、そのキャリアをコンパクトにまとめたベスト・アルバム。導師グラム・パーソンズとのデュエット"Love Hurts"に始まって、カントリーに新しい生命を吹き込んだ名曲の数々、ロイ・オービソンとのデュエット・ヒットにかの「トリオ」でのエヴァリー・ブラザーズ・ソング等々、透明感溢れるヴォーカルはいつまでも新鮮。新録音"The Connection"を含む全20曲の決定盤ベスト。
●THE FLYING BURRITO BROTHERS『The Collection』UNI9820305 CD \1,575
Break My Mind/Sing Me Back Home/Close Up the Honky Tonks/Image of Me/White Line Fever/Six Days on the Road/Dim Lights/Tonight the Bottle Let Me Down/Sin City/Dark End of the Street/Pick Me Up on Your Way Down/God's Own Singer/Green Green Grass of Home/Crazy Arms/Together Again/Wake Up Little Susie/Here Tonight/Your Angel Steps Out of Heaven 全18曲
 60年代末から70年代初頭、あのザ・バーズの『Sweetheart of the Rodeo』に始まる時代の流れの先端にあって、カントリー・ロック・シーンの頂点に立ったフライング・ブリトウ・ブラザーズ、グラム・パーソンズの志向するカントリー・ミュージックと、ウェスト・コーストの新しいロックの波が見事に融合された斬新なサウンドが、その後のカントリー・ミュージックに及ぼした影響は計り知れないものがある。イギリスで編集された今回のコレクションは、彼らのシグネチャー・ソングともいうべき"Sin City"、"God's Own Singer"の2曲に、4枚のオリジナル・アルバムには収録されなかった、グラム・パーソンズ印のカントリー・ソング、ホンキー・トンク・トラディションを継承しながら新たな息吹きを送りこもうとトライした作品を集めたもの。バーズではそこまで徹し切れなかった、若きグラム・パーソンズのカントリーへの愛情がめいっぱい表現されたものであり、彼のレガシーの大きな転換点を記したものである。
●LITTLE JIMMY DICKENS『Gonna Shake This Shack Tonight:I'm Little, But I'm Loud』BCD-16198 CD \3.255
Buddy's Boogie(instrumental)/Salty Boogie/You All Come/Stinky Passed the Hat Around/I'm Gettin' Nowhere Fast/(I Got)A Hole in My Pocket/Love Must Be Catching/Country Boy Bounce(instrumental)/Happy Heartaches/Wabash Cannon Ball/Blackeyed Joe's/Slow Suicide/I Never Had the Blues/Raisin' the Dickens(instrumental)/Big Sandy/Country Ways and City Ideas/You Don't Have Love at All/Hannah/Me and My Big Loud Mouth/Hey Worm!(You Wanna Wiggle)/Hey Ma!(Hide The Daughter)/Walk, Chicken, Walk('Cause You're Too Fat to Fly)/Out Behind the Barn/Red Wing(instrumental)/I'm Coming Over Tonight/Rockin' With Red/Hillbilly Fever/I Feel for You(But I Can't Quite Reach You)/I Wish You Didn't Love Me So Much/Jambalaya/Goodbye 全31曲
 40年代後半から50年代半ば、ロカビリーが登場するまでの間、カントリー界を席巻しながらもいつしか忘れ去られていった、カントリー・ブギに焦点を当てたベア・ファミリーの新企画シリーズ、『Gonna Shake This Shack Tonight』の第一弾、キャッチ・フレーズをそのままタイトルにしたリトル・ジミー・ディッケンズ編。ニックネームどおり、小柄な体をめいっぱい躍動させて唄うジミー・ディッケンズ、80歳を越えたいまもグランド・オール・オープリのレギュラーとして活躍する彼の全盛期50年代の31曲。バディ・エモンズ(スティール)、グラディ・マーティン、ハンク・ガーランド(エレキ)、トミー・ジャクソン、デイル・ポッター(f)、デル・ウッド、フロイド・クレイマー(p)など、凄い顔ぶれが創り出す完璧のカントリー・サウンドを従えて唄う姿は、まさにカントリー黄金期をヴィヴィッドに伝えてくれる。デビューしたばかりのバディ・エモンズをフィーチュアした"Buddy's Boogie"やテーマ曲"Raisin' the Dickens"など、カントリー・ボーイズのインストも鮮やか。
●JUMPIN' BILL CARLISLE『Gonna Shake This Shack Tonight:Busy Body Boogie』BCD-15980 CD \3,255
Busy Body Boogie/Rattlesnake Daddy/Love, Love, Love(That's What It Is)/No Help Wanted/Something Different/Knot Hole/T'ain't Nice/Too Old to Cut the Mustard/Is Zat You Myrtle?/I Need a Little Help/Doggie Joe/Feet Don't Fail Me(This Time)/Shake a Leg/If You Don't Want It/Female Hercules/Honey Love/New Liza Jane/I Don't Want to Run/Money Tree/Ladder of Love/Old Fashioned Love/I'm Rough Stuff/Dumb Bunny/Who's A-Gonna Stop Me/Uncle Bud/Bessie Lou/How Will I Know/Tiny Space Man/Down Boy/Air Brakes/John Came Home/Monkey Business/A Mouse Been Messing Around/Woman Driver 全34曲
 上記ベア・ファミリーの新シリーズ、ビル・カーライル編。クリフとビル、カーライル兄弟のティーム、ザ・カーライルズとして人気を集めたデュオの50年代前半のマーキュリー録音、そしてクリフと別れ、ジャンピン・ビル・カーライルとしてオープリでシンガー/コメディアンとして不動のスターとなったヴィクター、コロムビア音源から、シグネチャ―・ソング"No Help Wanted"や"Too Old to Cut the Mustard"を含む、時代を鮮やかに切り取ったビートが強烈に伝わってくる全34曲、マーサ・カーソンやベティ・エイモスなど女性シンガーをフィーチュアしながら、コメディアンとしての本領も発揮している。こちらも上記リトル・ジミー・ディッケンズに似て、チェット・アトキンズやグラディ・マーティン、ハンク・ガーランド、トミー・ジャクソン、ボブ・ムーア、ジュニア・ハスキーなど、ナッシュヴィルの最高峰が見事なサポートを務めている。
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