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NEW ARRIVALS & BACK IN STOCK 0504   2005/05/02 プリントアウトしてお読みいただけます
[BLUEGRASS NEW RECORDINGS]

●DOYLE LAWSON & QUICKSILVER『You Gotta Dig a Little Deeper』ROU-0557 CD \2,573

Heartbreak Number Nine/Four Walls/The Girl in the Valley/You Gotta Dig a Little Deeper/Saving Grace/Rosine/Girl from West Virginia/Blues for My Darling/Love Me as You'd Love the Rain/What Ain't to Be, Just Might Happen/Oak Valley Girl/When I'm Knee Deep in Bluegrass 全12曲

デル・マカーリー・バンド、リッキー・スキャッグス&ケンタッキー・サンダ―と並んで、「ブルーグラス御三 家」として頂点に君臨するドイル・ローソン&クイックシルヴァー、結成25周年の節目を過ぎて心機一転、ラウ ンダーに移籍しての第一弾。バリー・スコット(bs)、ジェ イミー・デイリー(g)とドイル、3人がさまざまなヴァリ エーションで繰り出す鉄壁のトリオ・コーラスは、常にハイ・レヴェルをキープしてきた歴代クイックシル ヴァーでも最高峰に位置するもの、2001年から4年連続でのIBMAアウォード、最優秀ヴォーカル・グループ受賞 も必然のものと万人を納得させてしまう、そんな凄みさえ感じさせるものがある。クイックシルヴァーのアルバ ムでは実に珍しいインスト"Rosine"に聴かれるドイルのマンドリン・スタイリストぶりや、復帰してきたオリジ ナル・メンバー、元祖インパクト・バンジョーのテリ―・ バウカムと若手ジェシー・ストックマンのフィドルを前面に押し立てたソリッド・ブルーグラスの快感は、筆舌 に尽くしがたいもの。ナッシュヴィル・サウンドの代名詞、ジム・リーヴスの"Four Walls"を完璧のブルーグラスに料理する手並みも鮮やかに、ナンバー・ワン・バン ドの実力を遺憾なく発揮した気合十分、会心の1枚。

●KATHY KALLICK BAND『Warmer Kind of Blue』CCCD-0237 CD \2,888

Friend of Mine/The Messenger/Hey, Hey, Hey/A Warmer Kind of Blue/Late Last Night/Metropolis Blues/This Last Request/Burn Down the House/That's How I Can Count on You/Just One Time/A Dirty Riff/Honky Tonk Blues/Still/God Gave Noah the Rainbow Sign/In the Middle of My Town 全15曲

 ベイ・エリアを代表する女性ブルーグラスのパイオニ アのひとり、キャシー・キャリックの最新作は、キャシー・キャリック・バンドとしては98年の『Walkin' in My Shoes』(LOR-510\2888)以来、久々のバンド・アルバム、ブライアン・ウィックランド(f)が正式メンバーと なってからは初めてのもの。ソングライターとしても定評あるキャシーのオリジナル8曲に、エイヴラム・シー ゲル(bj)とトム・ビークニー(m)のオリジナル・インストが各1曲、そしてジミー・マーティンやハンク・ウィ リアムズ他のカヴァーという構成。タイトルが示すとおり、キャシーの優しく、暖かいヴォーカルに「明るさ」 を強く意識した軽快なサウンドでまとめた、味わい深いウェスト・コースト・トラッドの逸品。エイミー・ステ ンバーグ(bs)の秀逸なリード・ヴォーカルで聴かせるジェイク・ランダースの"This Last Request"、コニー・スミスのヒット"Just One Time"(ドン・ギブソン作)という渋い選曲もさすが。96年結成以来、磐石のアンサン ブルを聴かせるバンドに、ウィックランドが加わったことでいちだんと厚みを増したあたりも聴きどころ。

●MAC MARTIN & THE DIXIE TRAVELERS『Venango』CCCD-0229 CD \2,888

New Curly Headed Baby/Venango/Old Lonesome Time/My Faithful Servant/Are You Sad/We Buried her Beneath the Willow/Chokin' the Strings/Rock My Cradle/In My Heart You Will Always Be Mine/Blue Skies in Your Eyes/Backtrackin' II/When I Reach That City/Sunny Side of the Mountain/In the Cool Light of Dawn 全14曲

 ペンシルヴァニア・ブルーグラス・シーンの重鎮マッ ク・マーティンの、バンド結成50周年を記念した最新作。 1954年にディキシー・トラヴェラーズを結成以来、トラッド・ブルーグラスひとすじに50年、いまなお現役バ リバリの大ヴェテランだ。結成以来のパートナー、マイク・カーソン(f)を軸に、10代の頃から加わっている息子 ボビー・マーティン(g)、ノーム・エイジンガ―(bs)とキース・リトル(bj、あのキース・リトルとは別人)そし てマックのマンドリンという編成に、70年代から交友のあるロン・メシング(d)がゲスト参加している。ボビーに リード・ヴォーカルを譲る場面もふえているとはいえ、マックの枯淡の境地ともいうべき味わいは健在、いつも のとおり、カンバーランド・リッジ・ランナーズやドク・ ウィリアムズ、トビー・ストラウドなど30年代、40年代の埋もれた佳曲の発掘やカントリー・ソングのカヴァー に、マック自作のゴスペル・カルテットなど、選曲にもヴェテランならではの渋みをたっぷりと効かせ、悠然と したヴォーカルをしっかりと聴かせてくれる。ディキシー・トラヴェラーズのもうひとつの看板だった、故ビ リー・ブライアント(1994年没)のスタイルを踏襲したキース・リトルのバンジョーも、ドン・レノ・チューン などで健闘している。

●THE CHAPMANS『Simple Man』PC-1144 CD \2,573

Fire in The Canyon/Cold and Lonely/Jeanie and Tommy/Ode to the Simple Man/The Photograph/How I Love You/A Love I'll Never Forget/Pickle Flavored Ice Cream/Runaway Kind/Uphill Climb/Sometimes You Just Can't Win/You'll Be a Lost Ball 全12曲

 ジョン(g)、ジェレミー(m)、ジェイソン(bs)三兄弟と 父ビル(bj)からなるファミリー・バンド、ザ・チャップマンズ、実に4年ぶりの第3作。イケイケ・コンポラ・ソ リッド全開の『Notes From Home』('99,PC-1093\2,573)からトラッド志向をベースにした2001年作品『Follow Me』(PC-1113\2,573)をひっさげて、2002年度IBMAアウォー ドにおいて最優秀新進アーティストを受賞してから3年、 見事に練り上げられたアルバムで帰ってきた。ベッキ―・ビューラーやクリス・ジョーンズ作品でのオーソ ドックスなブルーグラスもさりながら、ボブ・エイモス、 スティーヴンス・シスターズ、キム・フォックスなど気鋭のソングライター陣に、ナッシュヴィルのバイロン・ ヒルなどのひと癖ある作品をとりあげ、ユニオン・ステーションなどにも通底する繊細なアンサンブルに、バ ンドの成長、明確な方向性が見て取れる。ジョンのリードを軸とした兄弟ならではのトリオ・コーラスもいちだ んと深みを増し、それを支えるサウンドの要となっているジェイソンのマンドリン、そしてゲスト参加のスチュ アート・ダンカン、オーブリ―・ヘイニ―、アンディ・レフトウィッチというフィドル陣に、ロブ・アイクスの ドブロが、毎度のことながら、かんどころをきっちりと押さえた、安定感いっぱいのサポートをみせている。ホ ントはこんなのが大好きなんだろう、ラストのジミ―・マーティン・ソングが快感。

●CHARLIE DANIELS『Songs from the Longleaf Pine』KOCH-9823 CD \2,888

Walkin' in Jerusalem(Just Like John)/Preachin' Prayin' Singin'/I've Found a Hidin' Place/I'm Working on a Building/The 91st Psalm(Recitation)/Keep on the Sunny Side/Softly and Tenderly/The Old Account/I'll Fly Away/How Great Thou Art/The 23rd Psalm/What Would You Give(In Exchange for Your Soul?)/The Old Crossroads 全13曲

 ボブ・ディランの『Nashville Skyline』やアール・スクラッグスの『Anniversary Special』をはじめ、アル・クーパー以下多くのロック・アルバムへの参加に始ま り、79年、チャーリー・ダニエルズ・バンドでの大ヒット"The Devil Went Down to Georgia"でグラミー受賞、以来、サザン・ロック、カントリー・ロックのカリズマ として大きな存在感を示し続けているチャーリー・ダニエルズ、彼もまた実はミュージシャンとしての出発点は 故郷ノース・キャロライナでのブルーグラス・フィドラ―だったという、今回はその原点に回帰したブルーグラ ス・ゴスペル・アルバム。グル―ヴグラス・プロダクショ ンのスコット・ラウズが制作、基本セットは、ロニー・マカーリー(m)、ロブ・マカーリー(bj)、ジェイソン・カー ター(f)、マイク・バブ(bs)にティム・メイ(g、元クルー シャル・スミス)とアンディ・ホール(d、ロニー・ボウマ ン・バンド)からなるグル―ヴグラス・ボーイズの面々が 務め、ヴォーカルには常連マック・ワイズマンにリッキー・スキャッグス、ホワイツ他、そして大御所アール・ スクラッグスがバンジョー、ギターで衰え知らずのパフォーマンスを聴かせ、レシテーションのバックではク リス・シーリーの繊細なマンドリンがフィーチュアされている。貫禄十分なバリトン・ヴォイスで説得力に満ち た福音を説くチャーリーの、年輪の滲み出たヴォーカルが圧巻。

[BLUEGRASS REISSUES AND DISCOVERIES]

●NEW LOST CITY RAMBLERS/RHE GEENBRIAR BOYS『Pete Seeger's Rainbow Quest』SHA-608D DVD 110分 \3,308

NEW LOST CITY RAMBLERS:Pete Seeger's Opening Medley/Stone Rag/Man of Constant Sorrow/Cuckoo Bird/Arkansas Sheik/Soldier and the Lady/Hawkins Rag/Orange Blossom Special/I Will Never marry/Ragtime Annie Medley

THE GREENBRIAR BOYS:Pete Seeger's Opening Medley/Sally Goodin'/Wabash Cannonball/Danville Girl/Blues(My Naughty Sweety Gives to Me)/Our Festival of Flowers/Bear Creek Hop/Roll on Buddy/Dink's Song/Little Birdie/Stewball/Midnight Special 全22曲

60年代フォーク・ブームの時代に制作されたピート・シーガ―のTVシリーズ『Pete Seeger's Rainbow Quest』のDVD化、今回はニュー・ロスト・シティ・ランブラー ズとグリーンブライア・ボーイズの2本立。20年代、30年代のオールドタイム・ミュージックを都会のリスナー に伝えるという大きな役割を果たし続けたニュー・ロスト・シティ・ランブラーズ、マイク・シーガ―、ジョン・ コーエン、トレイシー・シュウォーツの3人が、多くの楽器をとっかえひっかえしながら、ストリング・バンド・ ミュージックの楽しさを見事に表現している。一方グリーンブライア・ボーイズ。アーバン・ブルーグラスの 旗頭として、カントリー・ジェントルメンなどとともにブルーグラスを都会の若者、インテリ層にアピールして いった功績は大きい。都会派ジョン・ヘラルドとボブ・イェリンに、鬼才フランク・ウェイクフィールドとジム・ ブキャナンが加わって、新しさとトラッドな匂いが混在するユニークなスタイルが異彩を放っている。ピート・ シーガ―が63年頃に来日したときの、日本のカントリー、ブルーグラスについて語っている部分(原田実とワ ゴン・エースの映像も)も興味深いものがある。

●THE COUNTRY GENTLEMEN『Joe's Last Train』REB-1559 CD \2,573

Joe's Last Train/Ages and Ages Ago/In My Younger Days/Pamela Brown/Cryin' Holy/This Land Must Die/Bloody Mary Morning/Goin' Home/Texas Chill/Free as the Wind/Dixieland for Me/Lord Don't Leave Me Here 全12曲

 カントリー・ジェントルメンが75年10月の2度目の 来日の翌年春、ヴァンガードでの2作を経て再びレベル・レコードに録音した、中期の傑作アルバムがCD化で ある。ドイル・ローソンとビル・ホールデン、ビル・イェ イツ(ヴォーカルのみ)という来日時のメンバーに、準レギュラーともいうべきマイク・オールドリッジが参加、 ベースには元メンバーのエド・フェリスがゲスト出演している。タイトル曲など3曲の名コンビ、ピート・ゴー ブル&リロイ・ドラム作品を軸に、ジーン・オートリーやジョージ・ジョーンズ&メルバ・モンゴメリーなどの クラシック、ア・カペラ・ゴスペル・カルテットなども織り交ぜ、ドイル・ローソン、ビル・イェイツにリード・ ヴォーカルを任せたナンバーや、ドイルのリード・ギターをフィーチュアするなど多彩なスタイルに、チャー リーのいつもどおりの味わい深いヴォーカルがカントリー・ジェントルメン印をしっかりと印象付けている。

●THE STANLEY BROTHERS『Earliest Recordings:The Complete Rich-R-Tone 78s(1947-1952)』ROU-1110 CD \2,573

LIttle Maggie/The Jealous Lover/The Little Glass of Wine/Our Darling's Gone/Molly And Tenbrook/The Little Girl And the Dreadful Snake/Are You Waiting Just For Me?/Death Is Only a Dream/Little Birdie/I Can Tell You the Time/The Little Glass of Wine(alternate version)/Mother No Longer Awaits Me at Home/The Rambler's Blues/The Girl Behind the Bar 全14曲

 スタンレー・ブラザーズがそのもっとも初期、1947年 から52年、テネシーのスモール・レーベル、リッチ・R・ トーンに録音した14曲の貴重な音源が、ラウンダーから再発売。モンローのオープリ・ライヴを聴いてブルーグ ラスへの転向を図ったカーターとラルフのホットな心情が伝わってくる演奏、モンローをコピーした"Molly And Tenbrook"が、モンロー盤よりも先にリリースされたことで激怒したことが、のちにモンローがコロムビアと喧 嘩別れする原因となった、とされるなどのエピソードも伝えられている。ラルフのバンジョーが当初のオールド タイムなスタイルからブルーグラス・スタイルに進化していく過程もうかがえるなど、アーリー・ブルーグラス のありのままを伝えるお宝音源集。

●LESTER FLATT & THE NASHVILLE GRASS『Gospel』CD MME-70051 \2,089

I'm Going That Way/Brother, I'm Getting Ready to Go/What a Friend We Have in Jesus/He's Coming Back/Go Home/Let the Church Roll on/Awaiting the Boatman/God Loves His Children/Call Me on Home Too/I've Been Waiting/He Didn't Stop at Calvary/You Can Feel It in Your Soul 全12曲

 レスター・フラット&ナッシュヴィル・グラスが73年 までの3年間にRCAヴィクターに多くの傑作アルバムを残したのち、75年にケイナン・レコードから発表したゴ スペル集『Flatt Gospel』が遂にCD化。若きマーティ・スチュアート(m,g)を押し立てて、ケニー・イングラム (bj)、チャーリー・ニクソン(d)、ジャック・ヒックス(bs) に、大ヴェテラン、カーリー・セクラー(g)とポール・ウォーレン(f)が大きな存在感を示したこの時期、レス ターの円熟のヴォーカルが、F&S時代のリメイクを中心にレスター流ブルーグラスの極致を見事に作り出して いる。ゴスペル専門レーベルからのリリースということで、RCA時代とこれ以降のフライング・フィッシュ、CMH のはざまに埋もれた感もある、知られざる傑作の復刻である。

●CURLY SECKLER『60 Years Of Bluegrass With My Friends』CD CCCD-0227 \2,888

Spoken Introduction by Curly/We'll Meet Again Sweetheart/Moonlight on My Cabin/Shine on Me/Salty Dog Blues/Mother Maybelle/Somebody Loves You, Darling/That Old Book of Mine/While in this World/I'm Coming Back But I Don't Know When/Lord, I'm Coming Home/I'll Go Stepping Too/No Mother or Dad/Swing Low, Sweet Chariot/Dedication to Grant Turner/Father's Table Grace 全14曲

 音楽生活70週年という記念すべき年、2004年度IBMA 名誉の殿堂入りを果たしたカーリー・セクラー、彼が94年に60周年を祝って制作したアルバムの再発売。マッ ク・ワイズマンとの"We'll Meet Again Sweetheart"に始まって、フォギー・マウンテン・ボーイズの僚友アン クル・ジョッシュ・グレイヴスを迎えての当たりナンバー"Moonlight on My Cabin"、オリジナル・ヴァージョンのヴォーカルが記憶に残るベニー・シムズとの"Salty Dog Blues"、さらにはジム&ジェシー、ジミー・マーティン、ラルフ・スタンレー等々、ファースト・ジェネレー ションの仲間たちとのコラボレーションに聴かれるカーリーの味わい深い「うた」が胸に染み入る。ドイル・ロー ソン、ベニー・マーティンなども参加、カーリーの幅広い人脈を総動員した豪華キャストによる祝賀企画作品。 バックはラリー・パーキンス(bj)、テイター・テイト(f)、 ビリー・ローズ(bs)他。


●JIMMY MARTIN『This World Is Not My Home』CD MME-70053 \2,089

Little White Church/This World Is Not My Home/Prayer Bell of Heaven/What Would You Give in Exchange For Your Soul?/Lord, I'm Coming Home/Give Me Your Hand/Give Me the Roses Now/Shut-In's Prayer/Pray the Clouds Away/God Guide Out Leader's Hand/Goodbye/Voice of My Savior 全12曲

●JIMMY MARTIN『Singin' All Day And Dinner On The Ground』CD MME-70054 \2,089

Singing All Day and Dinner On The Ground/Lift Your Eyes to Jesus/My Lord Keeps a Record/God Is Always the Same/When the Savior Reached Down For Me/Shake Hands With Mother Again/Help Thy Brother/A Beautiful Life/Stormy Waters/Hold to God's Unchanging Hand/Little Angels in Heaven 全11曲

 ガンとの闘病が続き、シリアスな病状が伝えられてい るジミー・マーティンが、絶頂期にデッカに残したゴスペル・アルバム2作のCD化。『This World Is Not My Home』は63年に発表した初めてのゴスペル集、ビル・エマーソン(bj)、ポール・ウィリアムズ(m)をフィーチュア した62年8月の録音が中心となっている。ポールのリード・ヴォーカルによる"Little White Church"、ロイス・ジョンソンのハイ・バリトンを加えた独特のコーラスな ど、ジミーとサニー・マウンテン・ボーイズの特徴的なスタイルがゴスペルでも楽しめる。『Singin' All Day And Dinner On The Ground』は70年発表。アラン・マンデ(bj)、ドイル・ローソン(m)、ヴァーノン・デリック(f) に、グロリア・ベルのハイ・バリトンという編成の6曲に、60年代初頭、J.D.クロウとの2曲、ビル・エマーソ ンとの2曲、ポール・クラフトとの1曲(マンドリンはい ずれもポール・ウィリアムズ)という構成。ゴスペル集と いうことで、ジミーのヴォーカルもずいぶんと抑制の効いた、落ち着いたスタイルに仕上げているが、その唄い まわしの見事さ、かっちりとまとまったタイト&ソリッドなアンサンブルはさすがといしかいいようがない。

●BILL MONROE『The Definitive Collection』B000440402 CD \2,079

Blue Moon of Kentucky/Jimmy Brown the Newsboy/I Saw the Light/Goodbye Old Pal/Footprints in The Snow/Roll on Buddy Roll on/I'm Going Back to Old Kentucky/Molly & Tenbrooks/When the Cactus Is in Bloom/Walls of Time/I'm Working on a Building/Scotland/Walk Softly on My Heart/Kentucky Waltz/In The Pines/Toy Heart/New Mule Skinner Blues/Roanoke/Midnight on the Stormy Deep/Uncle Pen/Gotta Travel on/My Last Days on Earth 全22曲

 「Father of Bluegrass」ビル・モンロー、2005年新編集、「究極の」ベスト・アルバム。この数年、本家MCAか らだけでも何種類ものコンピレーションがリリースされていて、選択に迷ってしまうが、有名曲をきっちりとお さえての廉価盤ということで、入門者向けには好適の1枚。

[FOLK & OLDTIME NEW RECORDINGS]

●JESSE McREYNOLDS & CHARLES WHITSTEIN『A Tribute to Brother Duets』PC-1145 CD \2,573

Gone But Not Forgotten/Remember Me(When the Candlelights Are Gleaming)/Rose of My Heart/Are You Missing Me/When I Stop Dreaming/Blues Stay Away From Me/The White Dove/Kentucky/Somebody Loves You Darling/That's All I Want From You/Which One Is to Blame/What Would You Give 全12曲

 カントリー/ブルーグラスのみならず、アメリカン・ ポップスのコーラス技法の原点として連綿と継承されているブラザー・デュオ・スタイル、それぞれに長年にわ たってそのスタイルを極めてきたふたり、そしてそれぞれのパートナーを失ったいま新たなコンビとして再出発 したジェシー・マクレイノルズとチャールズ・ウィットスタインが、基本に立ち返って、カントリーの歴史に名 を残すブラザー・デュオの名曲をしみじみと唄った、ブラザー・デュオ讃歌。オープニング・トラックはジェシー 作、ジム・マクレイノルズとロバート・ウィットスタインへの頌歌。以下、べイルズ、ウィットスタイン、ジム &ジェシー、ルーヴィン、デルモア、スタンレー、ブルー・ スカイ・ボーイズ、モリス、ヨーク、ウィルバーンそしてモンロー・ブラザーズと、ブラザー・デュオの名品を、 ジェシーのリードとマンドリン、チャールズのテナーとギターというベーシックなフォーマットに、あくまでも 控えめなデイヴ・サルヤ―ズとチャーリー・クッシュマンのギター、グレン・ダンカンのフィドル、ケント・"スー パーマン"・ブラントンのベースが、しっとりとした演奏でサポートしている。ふたりの、亡きパートナーへの 想い、先人へのリスペクトがひしひしと伝わってくる。

●JAMES LEVA『'Til I Know』CCCD-0234 CD \2,888

Didn't See the Rope/Fire Fire/Baby-O/Poor Little Mary-Lost Everything/You Always Get Your Way/Died for Love/Family Again/I Don't Know/Old Jack Dog/Lost Moon/'Til I know/The Music's Over/It Must Be Good/Bye Bye O 全14曲

 キャロル・エリザベス・ジョーンズとのコンビで新し いオールドタイムの可能性を探求してきたジェイムズ・リーヴァのソロ第2作。今回は、ジェイムズのヴォーカ ルとフィドル、ギターを核として、数年前から交友の始まったルイジアナのミュージシャン、デヴィッド・グ リーリー、マイク・ブルサードとのコラボレーションと、 マーク・シャッツやラリー・キールなどとの現代版アパラチアン・ストリング・バンドという二重構造、いくつ かの曲ではルイジアナでのベーシック・トラックをヴァージニアでのオーヴァー・ダブで完成させるという かたちをとっている。ルイジアナ・セッションではペダル・スティールやアコーディオンなども加えて、繊細な アコースティック・カントリーといった趣きから賑やかなケイジャン・スタイルまで、ジェイムズのシンガー/ ソングライターとしての方向性を強く感じさせ、ヴァージニア・セッションでは、オーソドックスな様式に沿っ たフィドル・チューンはもとより、プログレッシヴなスタイルに至る多様なかたちを見事に演出、全体としてこ れまでにない、コンテンポラリー・オールドタイムとでもいうべき音楽に、フレキシブルなひろがりをみせたア ルバムに仕上げている。

[COUNTRY NEW RECORDINGS]

●V.A.『Return to Sin City:A Tribute to Gram Parsons』ID-2743 DVD 106分 \3,308

Six Days on the Raod(Sin City All Stars)/Big Mouth Blues(Jim Lauderdale)/Drug Store Truck Drivin' Man(Jay Farrar)/Devil in Disguise(Jay Farrar)/Hot Burrito No. 1(Raul Malo)/Still Feeling Blue(Jim James)/Hot Burrito No. 2(John Doe)/We'll Sweep Out the Ashes in the Morning(John Doe & Kathleen Edwards)/Do Right Woman, Do Right Man(Susan Marshall)/Luxury Liner(Steve Earle)/My Uncle(Steve Earle)/Sleepless Nights(Lucinda Williams)/A Song For You(Lucinda Williams)/Wheels(Dwight Yoakam)/Sin City(Dwight Yoakam)/She(Norah Jones)/Love Hurts(Keith Richards & Norah Jones)/Hickory Wind(Keith Richards)/In My Hour of Darkness(Susan Marshall and The House of Blues Gospel Choir)/Wild Horses(All)/Ooh Las Vegas(All) 全21曲

 没後30年以上を経過したいまなお、ウェスト・コース トのカントリー/カントリー・ロック・シーンに絶大な影響を及ぼしつづけている伝説のミュージシャン、グラ ム・パーソンズ。彼の足跡を振りかえるべく、娘ポリーが企画したトリビュート・コンサート、グラムと交流の あった同世代のミュージシャン、影響を受けた次世代のシンガーたちが一堂に会してのコンサートは、2004年7 月にロス・アンジェルスのユニヴァーサル・アンフィ・シアターで開催されたスペシャル・イヴェントのDVD発 売。ジム・ローダデイルに始まって、オルタナ・カントリー勢が真摯なトリビュートを捧げるなか、スティー ヴ・アールの貫禄たっぷりのパフォーマンス、そしてジェイムズ・バートンを伴ったルシンダ・ウィリアムズ の登場で一気にヒート・アップ、続くドワイト・ヨーカムの見事なパフォーマンス(キース・ガティスのストリ ング・ベンダー・プレイが凄まじい)で最高潮に達する。 さらに、ノーラ・ジョーンズのソロをはさんで、圧巻はキース・リチャーズとノーラ・ジョーンズのデュエット、 フライング・ブリトウ・ブラザーズ時代のグラムと濃密な交友関係にあったキースの存在感に圧倒される。フィ ナーレはキースを先頭に次々とソロ・ヴォーカルをフィーチュアするローリング・ストーンズ・ナンバー、そ してジェイムズ・バートンとジェド・ヒューズのホット・ リックスが煽り立てる"Ooh Las Vegas"で大団円。ダスティ・ウェイクマン(bs)をリーダーに、トニー・ファー タド(bj,g)、アル・パーキンズ(Steel g)、スキップ・エドワーズ(keyboard)などからなるシン・シティ・オール・ スターズのサポートも素晴らしく、グラムいうところの「コズミック・アメリカン・ミュージック」の真髄を再現 している。ただひとつ、エミルー・ハリスの不参加が惜しまれてならない。

[COUNTRY REISSUES AND DISCOVERIES]

●CONWAY TWITTY & LORETTA LYNN『The Definitive Collection』B000358102 CD \2,079

After the Fire Is Gone/Don't Tell Me You're Sorry/Lead Me on/You're The Reason(I Don't Sleep at Night)/Easy Loving/Louisiana Woman, Mississippi Man/You Lay So Easy on My Mind/As Soon As I Hang Up the Phone/Spiders and Snakes/Feelin's/Back Home Again/The Letter/I Can't Love You Enough/Hey, Good Lookin'/From Seven Till Ten/You're the Reason Our Kids Are Ugly/How High Can You Build a Fire/You Know Just What I'd Do/The Sadness of It All/It's True Love/Lovin' What Your Lovin' Does To Me/I Still Believe in Waltzes/Oh Honey-Oh Babe/Making Believe 全24曲

 ロカビリー・シンガーとしては芽が出なかったものの、 60年代末デッカ移籍後カントリーに転向、"Next in Line""Hello Darlin'"などナンバー・ワン・ヒットを連発、ソロ・シンガーとして49曲のナンバー・ワンという、 ジョージ・ストレイトに破られるまで歴代最高の記録をもっていた70年代デッカ・カントリーの看板スター、コ ンウェイ・トゥウィッティと、同じくデッカの大スター、 最新作『Van Lear Rose』(B000251302\2,573)で'04年度グラミー賞に輝き見事な復活を遂げたホンキー・トンク の女王ロレッタ・リンという最強デュオの、究極のベスト・アルバム。71年にコンビを組んで最初のナンバー・ ワンとなった"After The Fire Is Gone"を皮切りに、80年代初頭までの間に5曲のナンバー・ワンと10数曲の トップ・テン・ヒットを記録し、10枚ものデュエット・アルバムを残した、ゴールデン・デュオのベストが収録 されている。これぞデッカ・カントリー、という正統スタイルに彩られた、ふたりのエモーショナルなヴォーカ ルが堪能できる。

●JAMES BURTON & RALPH MOONEY『Corn Pickin' And Slick Slidin'』SC-9009 CD\2,363

Columbus Stockade Blues/I'm a Lonesome Fugitive/The Texas Waltz/My Elusive Dreams/It's Such a Pretty World Today/Corn Pickin'/Moonshine/Your Cheatin' Heart/Laura(What's He Got That I Ain't Got)/Spanish Eyes/There Goes My Everything/Sneaky Strings 全12曲

 ギター・レジェンド、ジェイムズ・バートンがその長 いキャリアにおいてたった2枚だけ発表したリーダー・アルバムのひとつ、68年のキャピトル・アルバムがCD化 された。その初期、ウェスト・コーストで活躍していた時期、マール・ハガードの人気を決定づけたヒット曲の 数々で聴かれたチキン・ピッキン、ジェイムズ・バートンそしてベイカーズフィールド・サウンドの代名詞と なったスタイルを、同じくストレンジャーズ・サウンドの要となったパートナー、ラルフ・ムーニーのスティー リン・サウンドとの見事なコラボレーションで聴かせてくれる。オリジナル・インストを軸に、ハガードはじめ、 デヴィッド・ヒューストン、ウィン・スチュワート、ジャック・グリーンなど当時のカントリー・ヒットを得 意のスタイルで料理してみせる。カントリー・ギターのひとつの規範をつくったジェイムズ・バートンの貴重な インスト・アルバムである。

●SPEEDY WEST『Steel Guitar』SC-9007 CD \2,363

Speedin' West/Railroadin'/West of Samoa/Caffeine Patrol/Our Paradise/Flippin' the Lid/This Ain't the Blues/Stainless Steel/Steelin' Moonlight/Truck Driver Ride/Sunset/Steel Strike 全12曲

 カントリー・ミュージックの世界で、最初にペダル・ スティールを駆使してスター・プレイヤーとなったスピーディ・ウェスト、50年代前半からロス・アンジェル スを舞台に活躍、テネシー・アーニー・フォードをはじめとするキャピトル・カントリーのセッションには欠か せない存在として、多くの録音に参加してきた。今作は、 50年代に彼がハムと卵にも例えられた名コンビ、カントリー・ジャズ・ギターの名手にして早弾きの達人ジミー・ ブライアントと組んだ名曲を集めて60年に発売されたもの。代表曲"Speedin' West"以下、華麗なスティーリン・サウンドと早弾きギターとの競演で、スリリングなス ウィンギン・サウンドが楽しめる。

●V.A.『Western Swing And Country Jazz』JSP-7742 4CD \5,775

OCIE STOCKARD & THE WANDERERS:There'll Be Some Changes Made/Ain't Nobody Truck Like You/Long Ago/What's the Matter/Same Thing All the Time/One of Us Was Wrong/Black and Blue/Why Shouldn't I?/How Come(You Do Me Like You Do Do Do)/Please Sing for Me(Doodle-lee-Doo)/(Bring It on Down)To My House/Turn Your Lights Down Low/Wabash Blues/Just Blues/THE RANGE RIDERS:The Range Rider's Stomp/No Foolin'/Who Calls You Sweet Mama Now?/It Don't Mean a Thing/How Come You Do Me Like You Do/Five Foot Two, Eyes of Blue/BOB DUNN'S VAGABONDS:Stompin' At the Honky Tonk/Wednesday Rag/Juke Box Rag/You Don't Know My Mind/ROY NEWMAN AND HIS BOYS:Rhythm Is Our Business/Drag Along Blues/Garbage Man Blues/Tin Roof Blues/Dinah/Hot Dog Stomp/Black And Blue/12th Street Rag/Mississippi Mud/Takin' Off/Match Box Blues/Kansas City Blues/My Baby Rocks Me/Downhearted Blues/Sadie Green(Vamp of New Orleas)/MODERN MOUNTAINEERS:Loud Mouth/Everybody's Truckin'/Dirty Dog Blues/Who Cryin' Sweet Papa Now/Never Slept Last Night/Mississippi Sandman/You Got to Know How to Truck and Swing/Gettin' That Low Down Swing/Drifting Along/Sweet Little Girl of Mine/JIMMIE REVARD & HIS OKLAHOMA PLAYBOYS:Dirty Dog/Fox and the Hounds/Bound to Look Like a Monkey/Thinking/Daddy's Got the Deep Elm Blues/I've Got Trouble in Mind/We Played a Game/My Little Girl/Blues in the Bottle/Ride 'Em Cowboy/Oh! Swing It/After Hours Blues/Someone Else You Care For/Lose Your Blues and Laugh at Life/Everything's Gonna Be Alright/It's a Long Way to Tipperary/At the End of the Lane/Let Me Live and Love You/Old Waterfall/Holdin' the Sack/Cats are Bad Luck/Big Daddy Blues/Riding Down the Canyon/Crafton Blues/SMOKY WOOD'S WOOD CHIPS:Woodchip Blues/Wood's Travelling Blues/Keep on Truckin'/Carry Me Back to Virginny/I'm Sorry/Riding To Glory/Lonely Heart of Mine/Moonlight in Oklahoma/I'm Sorry/Riding to Glory/Lonely Heart of Mine/Moonlight in Oklahoma/CLIFF BRUNER'S TEXAS WANDERERS:Bring It on Home to Grandma/Old Joe Turner Blues/I Wish I Could Shimmy Like My Sister Kate/SWIFT JEWEL COWBOYS:Chuck Wagon Swing/Swingin' at the Circle S/Bug Scuffle/Little Willie Green/Willie the Weeper/Coney Island Washboard/Fan It/Memphis Oomph/Raggin' the Rails/Dill Pickle Rag/My Untrue Cowgirl/You Got to Hi-De-Ho(To Get Along With Me)/Memphis Blues/Rose Room 全100曲

 1920年代末から30年代初頭、テキサスで誕生した新し い音楽、ストリング・バンド、フィドル・バンドをベースに、当時流行の先端にあったスウィングやブルーズ、 ティン・パン・アレイ(いわゆるポップ・ミュージック)を融合させた音楽が、ウェスタン・スウィングと総称さ れる音楽である。"King of Western Swing"ボブ・ウィルスを頂点として、テキサス、オクラホマさらにはカリ フォルニアのボウルルームを舞台に、第2次大戦後にピークを極め、絶大な人気を博していた。このコレク ションは30年代後半、ダラスやサン・アントニオなど、ウェスタン・スウィングの中心地であったテキサスでレ コーディングされた(一部、アリゾナ州ホット・スプリン グスやテネシー州メンフィス録音も含まれる)音源を集め たもの。スウィート&メロウなクルーナー・タイプのヴォーカリストをフィーチュアしたはやり唄やジャズ小 唄、ブルーズなどのヴォーカル曲に、フィドルが核となりながら新たに採り入れられたスティール・ギターを フィーチュアし、エレキ・ギターやピアノ、管楽器でジャ ジーなサウンドを演出したインスト、ダンス音楽としてのスウィング・チューンから鑑賞用にもシフトしていっ た、そんな時代を映し出した、ローカル・ヒーローたちの生々しい演奏が集められている。、

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