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1950年代初期のビル・モンローの「ハイロンサム」サウンド形成に多大な貢献をし、そののちJ.D.クロウやビル・エマーソンら、偉大なバンジョー奏者を擁してバンジョーロールを尖鋭化した「ソリッドグラス」サウンドを創造した「キングオブブルーグラス」こと、ジミー・マーティン(1927-2005)の全盛期、初期デッカ録音集。 |
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●JASMD-3694 JIMMY MARTIN 『Good ‘N’ Country & Country Music Time』CD(\2,250-)\2,475-税込
(GOOD 'N' COUNTRY - WITH THE SUNNY MOUNTAIN BOYS)You Don'T Know My Mind/Homesick/Bear
Tracks/Night/Grand Ole Opry Song/Who'Ll Sing For Me/Hold Whatcha Got/Before
The Sun Goes Down/Cripple Creek/It'S Not Like Home/All The Good Times Are
Past And Gone/I Like To Hear 'Em Preach It
(COUNTRY MUSIC TIME)There Ain'T Nobody Gonna Miss Me When I'M Gone/Pretending
I Don'T Care/Leavin' Town/Don'T Give Your Heart To A Rambler/Train Forty-Five/Drink
Up And Go Home/I Can, I Will, I Do Believe/There Was A Love/Hit Parade
Of Love/Steppin' Stones/The Joke'S On You/Skip Hop And Wobble全24曲
キング・オブ・ブルーグラス、ジミー・マーチン、初期のデッカ録音を集めた『GOOD 'N' COUNTRY 』(1960)と『COUNTRY
MUSIC TIME』(1962)の2枚のアルバムを収録した編集盤。
ハンク・ウィリアムスやジョージ・ジョーンズにも通じる直情的な泣き節のアクの強い歌いまわしと、後のトニー・ライスにも強い影響を与えたロック・ソリッドなギター・プレイ、J.D.クロウの正確無比なバンジョーとポール・ウィリアムスのテナーによる圧倒的なパフォーマンスで一時代を築いたジミー・マーチン、デッカの第一回目となる1956年9月のポーキィ・ハッチェス(bj)とアール・テイラー(m)、ハワード・ワッツ(bs)によるセッションから"Hit
Parade of Love"他全3曲に続いて、J.D.のバンジョーを大きくフィーチャーした"Hold Whatcha Got""Bear
Tracks"、ポール・ウィリアムスのリード・ボーカルによる"There Ain'T Nobody Gonna Miss
Me When I'M Gone""Steppin' Stones"等々、名演の数々、70年代以降、酒の上のトラブルや奇行で毀誉褒貶が激しいジミー・マーチンですが、ここで聞かれる音楽は紛れも無く超一級のブルーグラス。
フラット&スクラッグスと袂を分かった後のビル・モンローを助けて、以降のブルーグラス・ボーイズのサウンド創りに大きな貢献をしたジミー・マーチンが、独立して自分のカラーを押し出してのし上がって行くには相当の苦労が有ったことと思われる。
自ら招いたこととは云え、自分をオープリーから追い出したモンローに対して、愛憎半ばする感情をステージ上で吐露したり、バンドのメンバーを必要以上に貶して紹介する様子も、自分の悪ふざけが何処までブルーグラスの観客に許容されるかを試しているようにも感じた。
亡くなる一年ほど前に、あるフェスのキャンプサイトで焚き火を囲んで気の置けない仲間とのジャムで、ハンク・ウィリアムスの"Lonesome
Whistle"をアカペラで歌い切った様子を間近で見て鳥肌が立つほど感動した。
偉大なブルーグラス・ミュージシャンの野心に満ちてギラギラ輝いてた時代のエネルギー溢れる演奏に触れて、この音楽の本質を感じ取って欲しい。
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