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Today's topic No. 389
  2020/06/04


 アパラチアの豊かな音楽的遺産を昇華し、新たに再構築して次の世代に引き継いでいくというビジョンで2018年に結成された新ユニット。

 





●BBR-1323 APPALACHIAN ROAD SHOW 『Tribulation』(本体\2,450-)\2,695-

The Spirit of Appalachia/Don't Want to Die in the Storm/Goin’ To Bring Her Back/Sales Tax on the Women/Wish the Wars Were All Over/Wars. Torn Asunder/Goin' Across the Mountain/The Appalachian Road/Gospel Train/The Old World & New Sounds/Beneath That Willow Tree/99 Years and One Dark Day/Hard Times Come Again No More/Hardship, Hope, and the Enduring Spirit of Appalachia/(Rev. Jasper Davis) Old Time Preaching on Tribulations/Tribulations

 ドイル・ローソン&クイックシルバーからマウンテン・ハートの創立メンバー、左手にハンディキャップを持ちながらも豪快なバンジョー・プレイを聞かせるバリー・アバナシーと凄腕フィドラーのジム・バン。

 クリーブ、J.D.クロウ&ニューサウス、ロンサム・リバー・バンド、ロンダ・ビンセント&レイジを渡り歩いたダレル・ウェッブ、伝説のデビッド・グリスマン・クィンテットやトニー・ライス・ユニット、ブルーグラス・アルバム・バンド等で知られるベテラン・ベーシスト、トッド・フィリップス、ゼブ・スナイター(g)という面々で2018年に結成されたアパラチアン・ロード・ショーの2作目。

 リリースに前後して今般のコロナ禍が起きたという、「試練」と題された本作ではブルーグラスのフォーマットを基本に、ビル・モンローの出身地でもあるイースタン・ケンタッキーやウエスト・バージニアに伝わる炭鉱の唄、教会の行事てもあるキャンプ・ミーティング・ソングやゴスペル、ミンストレル・ショー、南北戦争、黒人起源のバラッド等々、アパラチアの厳しい生活の中から生まれた歌の数々を真摯に演じる。

 「嵐の中で死にたくない」とアカペラで訴えかけるイントロに続いてハイロンサムな演奏が繰り広げられる“Don’t Want to Die in the Storm”。一転してモンローの"It's Mighty Dark"を髣髴されるホットなマンドリンから始まる"Goin’ To Bring Her Back"、ハードにドライブにするバンジョー、切り込むフィドル、ホットなフラットピッキング・ギターが堪能できる。

 ニューロストシティランブラーズも取上げていたディクソン・ブラザーズ、1936年録音の"Sales Tax on the Women" 、アイリッシュの香りもするバラッド"Wish the Wars Were All Over"、ブルーグラスではドライ・ブランチ・ファイア・スクワッド、フォークではピート・シーカーが取上げていた"Goin' Across the Mountain"、クレジットされてるフランク・プロフィットはアパラチアのオールドタイマーでフォーク・リバイバルの時代に"Tom Dooley"を現在の形で伝えたことでも知られる。

 "The Appalachian Road"はジミー・バン・クリーブ作のホットなインスト曲。黒人起源のゴスペル“The Gospel Train"。"99 Years and One Dark Day"はサンフランシスコ・ベイ目ブルースの作者として知られるブルース・シンガーのジェシー・フラー作、ホットライズによってブルーグラスのスタンダードとなった。

 スティーブン・フォスターの"Hard Times Come Again No More"、ラストはバージニアのフィンガーピッキングのギタリストのE.C.ボール作でマリア・マルダーも取上げていた"Tribulations"という練りに練った選曲、原曲の意味をきちっと咀嚼して、今のブルーグラスまーのスタイルで伝えようとする姿勢が窺える作品。

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