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Today's topic No. 149
  2018/5/23

    1966年にビートルズのブルーグラスカバー最高作と言われる名盤、『Beatle Country』(現在廃盤)を生んだチャールズ・リバー・バレー・ボーイズが1961年と1962年、アパラチアントラッドを学んでいた時期に発表した2枚のアルバムから29曲。北部の大学生たちのブルーグラスやオールドタイムへの強い憧れとともに、その成長過程から観るそののちのオリジナリティへの道筋がとても興味深い。







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●BACM-503 CHARLES RIVER VALLEY BOYS『Goin' To Georgia』CD(本体\2,450-)\2,646-.

Let It Fall/Solid Gone/The Cuckoo/Burglar Man/Cold Penitentiary Blues/Oh Me Oh My/Wildwood Flower/Old Reuben/Waiting For A Train/Bringing In The Georgia Mail/Down By The Seashore/Glen's Chimes/Oh Babe It Ain't No Lie/Pig Town Fling/Goin' To Georgia/Whoa Mule/You Ain't Talkin' To Me/Flop Eared Mule/Rocky Island/White Dove/Front Porch Backstep/Flying Saucers/Away Out On The Mountain/Foggy Foggy Dew/Easy Winner/Leaving Home/Auctioneer/Victim Of The Tomb/Crazy Creek 全29曲

 1959年に米国北部、ボストン市街の北側を流れるチャールズ河をはさんだ北隣、ケンブリッジの街はハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)を含む学研都市で結成されたチャールズ・リバー・バレー・ボーイズ(CRVB)。1966年の歴史的名盤、『Beatle Country』を経て、1968年の解散までに、さまざまなメンバーが行き来したという。

 本作は1961年当時、ハーバード大学の学生だったエリック・サックハイム(g,m)、ボブ・シギンズ(bj)、クレイ・ジャクソン(g)、そしてMITの大学院生イーサン・シグナ―(g,m,autoharp)の4人が、英国のフォークロアに録音した『Bringing in the Georgia mail』(1962, F-LEUT 3)の全18曲。そして友人のポール・ロスチャイルド(のちにザ・ドアーズやジャニス・ジョップリン、CS&Nらのプロデューサー)が1962年に録音、ボブとイーサンにジョン・クックとフリッツ・リッチモンドがあたらしく参加して自身のレーベルで63年に制作、さらに翌年に自身がエレクトラ社に移り再発売した『Bluegrass and old-timey music』(1964, Prestage 13074)から11曲を加えたコンピレーション。

 1966年に、ボブ・シギンズのほか、ジョー・バル、ジム・フィールド、エバレット・アレン・リリーらにバディ・スパイカーやエリック・トンプソンらを加えたメンバーでビートルズを素晴らしいブルーグラスでカバーした名盤、『Beatle Country』を生んだCRVB、本作はそんな彼らがアパラチアントラッド(ブルーグラスやオールドタイム)に憧れて懸命に学んでいた時期、初期のこの2枚のアルバムで、オールドタイム/トラッドフォークバンドが音楽的にブルーグラスに変遷していくさまが興味深い。ほぼ同時期、日本でも学生たちがブルーグラスに初めて出会い、取り組みはじめている。ちなみに、CRVBが米国で初の都会人によるブルーグラスバンドと紹介されることがあるが、1958年10月に故・有田達男氏の薫陶のもとうまれたイーストマウンテンボーイズは、その1年前の結成だ。もちろん様々な状況から、単純比較はできないが、日本ブルーグラスの歴史は……、かなり根深いぞ!?

 1961年に録音された18曲は音楽的に稚拙ではあるが、翌年に録音された11曲と比べたとき、そのニューヨーカーらしいオリジナリティに至る経緯として意味を持つ。そこにはブルーグラスやオールドタイムといったスタイルではなく、アパラチアントラッド、すなわちより幅広いフォークとして一連の音楽をとらえている姿勢が聞き取れることである。そののち現在にまで至る米国北部、ボストンやニューヨークのフレキシブルなブルーグラスが、もう一方の都会ブルーグラスである米国西海岸のトラッドグラス偏重とは一線を画して、多くの世界のミュージシャンをインスパイアーする理由が見えてきそうだ。
 ……多くの民族が混じり合った米北部の都会におけるトラッド/ルーツ音楽の取り組み、米西海岸や日本のように行きついた果て!?のそれとは、チョッと趣きが違うようだ。しかしフォークリバイバルのど真ん中、アパラチアのホンマモンたちから都会の学生らがいかにして音楽の神髄を学び取っていったか、それは西海岸でも英国でも、また日本でも全く同じことが行われていた、そんな貴重な記録が目の当たりに展開する。

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