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Today's topic No. 085
  2017/10/26

 ジェリー・ダグラス率いるフラット&スクラッグス・カバー・バンド。彼等のおかげでシーンが活気付いた事は確かです。

2017年のIBMAアワードで年間最優秀エンターテイナー、ショーン・キャンプが年間最優秀男性ボーカルを獲得。

文句なしに楽しめる、フラット&スクラッグスごっこの第2弾。

ジェリー・ダグラス(db)のもと、チャーリー・クッシュマン(bj)とショーン・キャンプ(gt)をアールとレスターに見立てて、ジェフ・ホワイト(md)をカーリー・セクラー、実父ポール役にはジョニー・ウォーレン(fd)、そしてバリー・ベイルズ(bs)という布陣で演じるF&Sのカバー集第二弾である。
ただし、選曲はとてもマニアック。

ここから、またあたらしくフラット&スクラッグスの魅力を再認識するのもいいネ。
  



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●ROU-00054 EARLS OF LEICESTER『Rattle & Roar』CD(本体\2,450-)\2,646-

The Train That Carried My Girl from Town/Why Did You Wander?/All I Want Is You/Steel Guitar Blues Intro/Steel Guitar Blues/You Can Feel It in Your Soul/A Faded Red Ribbon/Just Ain't/Mother Prays Loud in Her Sleep/I'm Working on a Road (to Glory Land)/Will You Be Lonesome Too?/Flint Hill Special/What's Good for You (Should Be Alright for Me)/The Girl I Love Don't Pay Me No Mind/Branded Wherever I Go/Buck Creek Gal/Pray for the Boys.

 「行く先々で、涙を流して喜んでくれるオールドファンがいるんだ……」と、自分たちの憧れと楽しみだけではじめたはずのバンドがIBMAアワードを総なめ、グラミー賞まで獲得という、意外な反響にリーダーのジェリー・ダグラス(db)はいう。いや、「意外」なことはない、ディープなブルーグラスファンなら、誰もが大喜びする……なーんてお見通しの確信犯たちである。

 アールズオブレスター、実際に存在する英国の伯爵位(アールオブレスター=Earl of Leicester=レスター伯)から名付けられた、レスター・フラット&アール・スクラッグスが率いたフォギーマウンテンボーイズ通称フラット&スクラッグス(1948-1969、以下F&S)のカバー(日本でいわゆるコピー)バンドである。

 ジェリーのほか、チャーリー・クッシュマン(bj)とショーン・キャンプ(gt)をアールとレスターに見立てて、ジェフ・ホワイト(md)をカーリー・セクラー、そして実父ポール役にはジョニー・ウォーレン(fd)、ジェリーとはアリソン・クラウス&ユニオンステーションの同僚バリー・ベイルズ(bs)という布陣で演じるF&Sの最新カバー集第二弾である。

 さらにこの選曲!F&Sの有名曲とは一線を画した実にマニアックな選曲。これぞF&Sの真髄とも言えるF&Sマニアはニタッとする曲ばかりだ。で、その仕上がりは……!?

 まず最初に、確認しておかねばならないのは演奏しているのがレスターとアールやジョッシュとジェイク、そしてカーリーではないこと(ポールだけはまさに血を引く本物!?だが)。つまり、彼らは明らかにフェイクであり、F&Sの天才的サウンドには決して及ばないこと。

 それを十分に飲み込んで、彼らともに涙を流し、感動し、F&Sの至芸に思いを致し、それでも彼らとともにF&Sになり切った気分を味わうこと。

 そうすれば、たとえば公式録音の残っていないインスト“Steel Guitar Blues”で、いかにジョッシュとアールが偉大であり、その二人を追い詰めることに、今を生きるブルーグラスミュージシャンとしてどれほどの価値があることなのか、ジェリーとチャーリーの繊細なタッチと至極のテクにブルーグラス奏法の悠久の美学を、感動しつつうなづくことができるはずだ。

 また、わがレスター愛の究極曲のひとつ“A Faded Red Ribbon”を聴きつつ、いかにレスターが唯一無二のボーカリストであったか……、もちろんカーリーのテナーの偉大さを含めて、そのF&Sのボーカルを再現することは不可能であることを肝に銘じつついかに鑑賞し、楽しむべきかを教えてくれる。

 チャーリーの心にくい50年代と60年代アールの弾き分け、またチャーリーとジョニーのフィドル&バンジョー“Buck Creek Gal”はこのプロジェクトのきっかけとなったベースであり、アール・スクラッグスという天才音楽家の耳と心を知る最良のサンプルのひとつであることを示し、世界的なミュージシャンになったジェリーの少年のようなジョッシュ愛……。

 本プロジェクトの核である三人三様、そのむき出しの音楽観が楽しめることが最高の喜びではあるものの、全員のF&S愛が、聴く者の心を半世紀前の世界一のブルーグラスバンドの夢を共有しつつ癒してくれるサイコーの企画作品だ。

ただし、本作はF&Sを愛で直す企画作品であり、F&Sを聴きたければ、F&Sを聴くべし!って、当ったり前だゾ.....!!

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